2026-03-28 コメント投稿する ▼
太平洋防衛の空白を埋めよ 中国の海洋進出にらみ硫黄島・南鳥島を拠点化
具体的には、4月にも省内に「太平洋防衛構想室(仮称)」を新設し、この広大な海域の防衛力強化に向けた具体的な方策の検討に着手する予定です。 政府が太平洋側の防衛強化を急ぐ背景には、中国の急速な海洋進出があります。 太平洋側の警戒監視体制の脆弱性を克服するため、レーダー網の整備も急がれています。 * 政府は、中国の海洋進出を背景に、警戒監視体制が手薄な太平洋側の防衛力強化方針を固めました。
広大な太平洋の防衛網強化へ 小泉防衛相、中国の海洋進出に警鐘
先日、硫黄島を訪問した小泉進次郎防衛相は、先の大戦で犠牲となられた方々の慰霊式に参列しました。その際、記者団に対して「太平洋側の防空体制は必ずしも十分ではなく、広大な部分が防衛上の空白状態となっている」と述べ、強い危機感を示しました。この発言は、日本の防衛における喫緊の課題を浮き彫りにするものです。
この危機感を受け、防衛省は早急な対策に乗り出します。具体的には、4月にも省内に「太平洋防衛構想室(仮称)」を新設し、この広大な海域の防衛力強化に向けた具体的な方策の検討に着手する予定です。長年にわたり手薄とされてきた太平洋側の防衛体制を抜本的に見直し、実効性のあるものへと転換を図る構えです。
中国の活動活発化、太平洋への影響
政府が太平洋側の防衛強化を急ぐ背景には、中国の急速な海洋進出があります。近年、中国海軍の活動範囲は、いわゆる「第1列島線」を越え、太平洋のさらに外洋へと拡大する傾向を見せています。昨年6月には、中国海軍の空母「遼寧」が初めて第2列島線を突破し、太平洋上空で空母2隻が同時に運用される事態も確認されました。
このような中国の軍事活動の活発化は、我が国にとって無視できない安全保障上の脅威です。特に、広大な太平洋地域においては、現状、常時運用できる警戒監視レーダーが配置されておらず、有事の際の即応体制に課題を抱えています。この「防衛の空白」とも言える状況は、中国のさらなる進出を招きかねないリスクをはらんでいます。
硫黄島・南鳥島を軸とした防衛拠点整備
こうした課題に対し、政府は太平洋上の戦略的要衝である硫黄島を、防衛力強化の拠点として位置づけています。具体的には、硫黄島飛行場の機能強化が検討されています。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)する際に、迅速な弾薬や燃料の補給を行える体制を構築することが急務です。
このため、新年度予算からは、同島の港湾整備など、輸送能力を高めるための調査に着手します。硫黄島は沿岸部が浅瀬であるため、大型船舶が直接接岸できないという課題があります。桟橋の整備などを進め、物資輸送の効率化を図る必要があります。また、火山島特有の地盤隆起という問題もあり、滑走路の維持・強化も重要な課題となります。
さらに、日本最東端に位置する南鳥島も、防衛拠点としての活用が期待されています。2026年度内には、地対艦ミサイルの射撃場が完成する予定で、翌年度からの運用開始が見込まれています。これにより、南鳥島周辺海域における警戒・監視能力が大幅に向上することになります。
南鳥島の滑走路も、現状では戦闘機などの離着陸には制約があります。将来的な運用能力の向上を見据え、滑走路の拡張も検討されています。これらの整備を通じて、南鳥島が南西諸島から太平洋へと伸びる防衛ラインの重要な一翼を担うことが期待されます。
レーダー網の拡充と早期配備
太平洋側の警戒監視体制の脆弱性を克服するため、レーダー網の整備も急がれています。現在、航空自衛隊は沖縄県の北大東島に移動式の警戒管制レーダーを配備する計画を進めていますが、この配備を加速させることが決定されました。これにより、中国軍の動向をより迅速かつ正確に把握することが可能になります。
さらに、小笠原諸島内にも新たにレーダーを配置するための調査が新年度から行われる予定です。これらのレーダー網は、日本が管轄する広大な海域全体をカバーし、不審な船舶や航空機の接近を早期に察知するために不可欠です。警戒監視能力の向上は、抑止力の強化に直結します。
まとめ
- 政府は、中国の海洋進出を背景に、警戒監視体制が手薄な太平洋側の防衛力強化方針を固めました。
- 小泉進次郎防衛相は、太平洋側の「防衛上の空白」に強い危機感を示し、早急な対策の必要性を訴えました。
- 具体策として、硫黄島と南鳥島を戦略的拠点と位置づけ、港湾・滑走路の整備や地対艦ミサイル配備を進めます。
- また、北大東島や小笠原諸島へのレーダー配備を加速し、太平洋全域の警戒監視能力の向上を図ります。
- 防衛省内に「太平洋防衛構想室(仮称)」を新設し、具体的な検討を進める方針です。