2025-12-11 コメント投稿する ▼
中国軍レーダー照射の中で日米共同訓練実施、内倉統合幕僚長「強い意思を確認」
中国軍戦闘機による自衛隊機へのレーダー照射問題で日中間の応酬が激化する中、防衛省は2025年12月10日、日本海上空で自衛隊と米軍による共同戦術訓練を実施したと発表しました。 内倉統合幕僚長は、海洋進出を強める中国を念頭に「力による一方的な現状変更を起こさせない日米の強い意思と自衛隊と米軍の即応態勢を確認した」と述べ、中国に対する明確なメッセージを発信しました。
今回の訓練は、航空自衛隊の戦闘機6機とアメリカ軍の爆撃機2機が参加して行われました。訓練のタイミングは、12月6日に中国海軍の空母「遼寧」から発艦したJ-15戦闘機が航空自衛隊F-15戦闘機に対してレーダー照射を行った事案の直後という極めて重要な意味を持っています。
レーダー照射問題で高まる緊張
12月6日、沖縄本島南東の公海上空で発生したレーダー照射事案は、中国軍機から自衛隊機がレーダー照射を受けたと政府が公表した史上初の事例となりました。小泉進次郎防衛大臣は異例の深夜記者会見を開き、「航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為」として中国側に強く抗議しました。
レーダー照射は16時32分頃と18時37分頃の2回にわたって実施され、戦闘機から戦闘機への空対空照射という過去にない性質の事案でした。火器管制レーダーによる照射は「銃口を向けられたのと同じ」意味を持つ危険な挑発行為で、ミサイル発射の準備段階とみなされる軍事的脅威です。
中国側は「日本が訓練を妨害し、あおり立てている」と反論し、事前通報した訓練空域に日本の戦闘機が侵入したと主張しています。しかし、日本政府は公海上での警戒監視活動の正当性を強調し、中国側の主張を完全に否定しています。
「中国がこんな危険なことをするなんて信じられない」
「日米でしっかり対抗してほしい」
「もう中国とは話し合いできないレベルになった」
「自衛隊の皆さん、いつもご苦労様です」
「アメリカが頼りになるパートナーで良かった」
日米連携で中国に対抗姿勢
今回の日米共同訓練は、中国の挑発行為に対する迅速かつ明確な対応として位置づけられます。内倉統合幕僚長が「力による一方的な現状変更を起こさせない日米の強い意思」と表現したのは、中国の行動が地域の平和と安定を脅かす許し難い行為であることを国際社会に示すメッセージです。
日本海上空での訓練実施は、中国に対して日米同盟の結束の強さを誇示する戦略的意図があります。レーダー照射事案発生からわずか4日後という迅速な対応は、日米両国が中国の挑発的行動を看過しないという断固とした姿勢を示しています。
航空自衛隊の戦闘機6機と米軍爆撃機2機による編成は、防空能力と攻撃能力の両面で連携を確認する実戦的な訓練内容でした。特に米軍爆撃機の参加は、中国の軍事活動に対する抑止力の強化を狙ったものと分析されます。
中国の「サラミスライス戦術」への警戒
専門家は、今回のレーダー照射事案を中国の「サラミスライス戦術」の一環として警戒しています。これは、気づかれないように薄く切ったサラミソーセージのように、小さな挑発行為を積み重ねて既成事実化を図る戦略です。
中国は2020年以降、尖閣諸島周辺で年間330日を超えるペースで海警船を派遣し、日常的な領海侵犯を常態化させてきました。今回のレーダー照射も、こうした段階的エスカレーションの延長線上にあると考えられています。
キヤノングローバル戦略研究所の峯村健司上席研究員は「中国の狙いはこの海域にいることを常態化したい」と指摘し、頻繁な挑発行為によって国際的な関心を薄れさせ、中国の存在を既成事実化する戦略だと分析しています。
日米同盟の抑止力強化が急務
今回の事案は、中国の軍事的脅威が新たな段階に入ったことを示しています。従来の艦艇同士の対峙から、戦闘機同士の直接的な威嚇行為へとエスカレートしており、偶発的な武力衝突のリスクが格段に高まっています。
日本政府は、こうした中国の挑発に対し、日米同盟の抑止力と対処能力の一層の強化で応える方針を明確にしています。防衛省は来年度以降も、中国を念頭に置いた大規模な日米共同訓練を継続的に実施する計画です。
内倉統合幕僚長の発言は、単なる訓練報告を超えて、中国に対する戦略的メッセージとしての色合いを強く持っています。「即応態勢の確認」という表現は、中国のさらなる挑発行為に対して日米が迅速かつ効果的に対応する準備が整っていることを示唆しています。
国際社会との連携も重要
レーダー照射問題では、オーストラリア政府が「深く憂慮」を表明し、日本の立場を支持する姿勢を示しました。アメリカ国務省も「平和と安定に資さない」として中国の行為を批判しており、国際社会の理解と支持が広がっています。
今後は日米二国間の連携だけでなく、オーストラリア、イギリス、フランスなど価値観を共有する国々との多国間連携の強化も重要になります。中国の一方的な現状変更の試みに対し、自由で開かれたインド太平洋の維持という共通目標のもとで結束することが求められています。
中国軍機によるレーダー照射という前例のない挑発行為は、地域の軍事バランスを大きく変える可能性を秘めています。日本は冷静さを保ちつつも、必要な抑止力の強化と同盟国との連携深化によって、平和と安定の維持に全力で取り組む必要があります。