2025-12-11 コメント投稿する ▼
尖閣諸島周辺で中国海警局船が27日連続航行、機関砲搭載船2隻を海保が警告
2025年12月11日、海上保安庁第11管区海上保安本部が発表したところによると、沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺の接続水域で中国海警局の船2隻が航行していることを海保の巡視船が確認しました。 確認された2隻はいずれも機関砲を搭載しており、海保の巡視船が領海に近づかないよう警告を継続しています。
この事態により、尖閣周辺で中国当局船が確認されるのは27日連続となり、日常的な領海侵入が常態化している現状を改めて浮き彫りにしました。確認された2隻はいずれも機関砲を搭載しており、海保の巡視船が領海に近づかないよう警告を継続しています。この数値は、中国による一方的な現状変更の試みが日常的になっていることを示しており、日本の領海主権に対する深刻な挑戦と受け取られています。
機関砲搭載船の増加傾向が顕著に
近年、中国海警局は海警船の武装強化を進めており、2025年に入って機関砲を搭載しない大型海警船への新規装備が相次いでいます。昨年前半まで機関砲が搭載されていなかった3000トン級以上の大型海警船に、新たに装備されてきており、尖閣沖では昨年6月から機関砲を持つ船4隻体制が維持されています。
海保が確認した中では、もと中国海軍の056型コルベットを転用した「海警1108」が76ミリ砲を装備するなど、これまでで最大級の火器を搭載した船舶が投入されています。このような軍艦転用船の投入は、中国が尖閣諸島周辺での既成事実化を図る戦略の一環とみられ、海上法執行機関の領域を超えた軍事的威圧の側面も指摘されています。
中国は2021年1月に海警法を制定し、曖昧な適用海域や武器使用権限を定めており、この法律により中国海警局は準軍事組織として位置づけられています。2018年には中国海警局が中央軍事委員会の指導を受ける人民武装警察部隊に編入され、組織的な軍事化が進んでいます。
「また中国の船が来てるのか。もう慣れてしまったけど不安だ」
「毎日のように来られて、日本は何をしているんだ」
「機関砲なんて積んで、明らかに威嚇じゃないか」
「これで27日連続って、完全に常態化してるよね」
「海上保安庁も大変だと思うけど、頑張ってほしい」
日本の対応体制も強化が急務
日本政府は2022年12月に「海上保安能力強化に関する方針」を閣議決定し、海上保安庁の体制強化を進めています。尖閣諸島周辺の領海警備のために配備される大型巡視船の建造費は、資材価格や人件費高騰により1隻当たり過去最高の188億円に達しており、厳しい予算事情の中でも警備体制の維持に努めています。
海上保安庁は2016年までに大型巡視船10隻と複数クルー制を導入し、ヘリコプター搭載大型巡視船2隻による専従体制を構築してきました。現在も大型巡視船の増強が進められており、2025年には大型巡視船が81隻となる計画です。しかし、中国海警局が保有する1千トン以上の船舶は120隻と、海保の巡視船62隻の約2倍の規模となっており、物量面での格差は依然として大きな課題です。
一方で、この警備強化には大きな財政負担も伴います。海上保安庁の2025年度予算概算要求は過去最大の2935億円に達しており、巡視船建造費の高騰が今後の増強計画に与える影響も懸念されています。
長期化する緊張状態と戦略的課題
2020年以降、中国海警船の尖閣諸島周辺海域でのプレゼンスは年間330日を超え、ほぼ毎日接続水域を航行する状況が続いています。2025年の領海侵入は通算28日目となり、接続水域の連続入域は最長335日を記録するなど、事態の長期化と常態化が深刻な課題となっています。
元米海軍大学校のトシ・ヨシハラ教授は、中国が尖閣海域での「恒常的な存在感」を国際的に誇示することにより、日本の施政権を否定し将来的な共同管理を既成事実化しようとしていると指摘しています。2025年5月3日には中国海警船から発進したヘリコプターが日本の領空を侵犯する事案も発生しており、海警船の活動は海上から空中へも拡大している状況です。
このような中国側の戦略的行動に対し、日本は国際法と国内法に基づいた冷静かつ毅然とした対応を継続していく方針です。海上保安庁は引き続き警告と監視活動を続けており、外交ルートを通じた抗議も並行して実施されています。しかし、現状の抑制的対応だけでは中国の既成事実化を阻止することは困難との指摘もあり、より実効的な対策の検討が求められています。
国際社会の懸念と今後の展望
尖閣諸島をめぐる現状は、東アジア地域全体の安全保障環境に深刻な影響を与えています。日米首脳会談では尖閣諸島への日米安全保障条約第5条の適用が繰り返し確認されているものの、実際の有事における対応には不確実性も残されています。
専門家からは、海上保安庁と海上自衛隊の連携強化や、中国側の活動を十分に抑止する能力の構築が必要との声も上がっています。一方で、過度な対抗措置は地域の緊張をさらに高める可能性もあり、慎重なバランスが求められる状況です。
尖閣諸島は歴史的にも国際法上も疑いのない日本固有の領土であり、現に日本が有効に支配しているため、領有権問題は存在しません。しかし、中国による恒常的な圧力の継続は、この明確な立場を揺るがそうとする戦略的意図を示しており、日本は長期的な視点での対応策を構築していく必要があります。