2025-12-10 コメント投稿する ▼
中国軍が無線音声公開 小泉進次郎防衛大臣が反論 レーダー照射問題は別論点
ところがその3日後、中国軍はX上に「反論の余地がない証拠」として無線交信の音声データを公開し、日本側の「了解」が示されたと主張しました。 音声では、中国側が英語で訓練実施を通告し、日本側とされる応答が「コピーした」と返す形になっています。 これにより、中国は「訓練区域を知らせていたのに日本は抗議している」という論点を展開しました。
中国軍が音声を公開し日本に反論
日本時間2025年12月6日、沖縄南東の公海上空で、中国海軍の空母から発艦したJ15戦闘機が航空自衛隊F15へ2回レーダー照射した問題が起きました。日本政府は安全保障上の重大な挑発行為だと位置づけています。ところがその3日後、中国軍はX上に「反論の余地がない証拠」として無線交信の音声データを公開し、日本側の「了解」が示されたと主張しました。
音声では、中国側が英語で訓練実施を通告し、日本側とされる応答が「コピーした」と返す形になっています。これにより、中国は「訓練区域を知らせていたのに日本は抗議している」という論点を展開しました。
しかし小泉進次郎防衛大臣は9日の衆院予算委員会で、航空情報(ノータム)や航行警報は事前通報されていないと明確に否定しており、両国の主張は激しく食い違っています。
「この音声だけで真実と言われても納得できない」
「日本側の声に違和感がある」
「女性の声のように聞こえた」
「中国訛りに聞こえる英語だった」
「なんでこれでレーダー照射の正当化になるのか?」
SNSにはこうした反応が相次ぎ、音源の真偽自体が火種になっています。データの編集可能性や声紋照合が行われていない点を疑問視する声が多く、証拠能力は限定的だと言わざるを得ません。
レーダー照射問題の本質と中国側の論点ずらし
今回の事案は、単なる訓練通知の有無ではなく、「火器管制レーダー照射」が主軸です。火器管制レーダーとは、射撃に必要な距離・角度を正確に測るための照射で、照準行為とほぼ同義です。これを航空自衛隊機に向けることは、武器使用の前段階として極めて危険な行為に分類されます。
ところが中国側は「訓練は知らせていた」と主張し、論点をすり替えています。仮に訓練が通知されていたとしても、照射の正当化には直接つながりません。訓練区域の通知と武力的威嚇は別問題だからです。
小泉大臣が国会で強い姿勢を示した背景には、自衛隊員の生命線に直結する性格があります。過去にも韓国海軍によるレーダー照射問題が国民の大反発を招いた経緯があり、日本社会は同種の行為に強い警戒感を抱いています。
中国の狙いは「先に情報を出す」戦術か
今回、中国が自ら音声データを公開したのは異例です。外交・軍事分野では、自ら証拠を名乗る映像・音声を出す行為は「情報戦」の一部とみられます。相手より先に材料を提示し、国際世論の形成を狙う手法です。
政府内では、これに淡々と反論した小泉大臣の対応は妥当だとの評価が強まっています。防衛省が事実確認を徹底し、政治家が断定的な語りを避けたことが、長期的には信頼につながる形です。外交上、誤った前提で発信すれば信用を失い、中国側に利用される恐れがあります。
一方で、中国は情報公開を「積極姿勢」と演出し、国内向けには「日本が騒ぎ立てている」と宣伝している可能性があります。情報戦の対象は外交相手ではなく、国内の支持層です。
今後の焦点は検証と国際社会への発信
現時点で音声の真正性を客観的に証明できる材料はありません。仮に声紋鑑定を試みるとしても、相手側から未加工データの提出がなければ不可能です。さらに、訓練通知に関する正式文書の有無も焦点であり、国際ルールとして航空情報が発出されていたか否かの立証は極めて重要です。
この問題は日中間だけでなく、周辺諸国からも注視されています。安全保障政策において、日本が毅然とした姿勢を示すことは不可欠です。照射への再発防止要求を迅速に行い、証拠を段階的に公開する手順が必要といえます。
小泉大臣は予算委員会で冷静に反論し、中国の論点ずらしに乗らなかった点が評価されます。減税や経済政策とは別次元で、安全保障の信頼性は国民生活の基盤です。外交で譲れば、そのしわ寄せは自衛隊現場と国民に直撃します。