2025-11-24 コメント投稿する ▼
与那国島付近を中国無人機が通過 空自が緊急スクランブル、抑止力強化が課題
また、7月、8月、6月にも与那国島と台湾との間を複数の推定中国無人機が飛行するケースが報告されており、防衛省はその都度、緊急発進で対応しています。 こうした飛行は、日本がこのエリアを重要視しており、南西諸島での防衛力強化が必然的に進んでいる現状ともリンクしています。 単なる軍事行動と片付けるのではなく、戦略的な外交・安全保障政策の整備が今、改めて問われています。
与那国島付近を通過か 中国無人機に空自がスクランブル
南西諸島・安全保障の緊張高まる
抑止力強化、監視態勢の課題も浮き彫りに
与那国島‐台湾間空域を無人機が通過
2025年11月24日、防衛省統合幕僚監部は、中国とみられる無人機が沖縄県・与那国島と台湾の間の空域を通過したと発表しました。これに対し、航空自衛隊の南西航空方面隊所属の戦闘機が緊急発進(スクランブル)し、警戒行動をとりました。領空侵犯は確認されておらず、統幕は「通過を確認した」との表現に留めています。
この種の通過事案は今年に入っても相次いでおり、2025年1月にも同様の無人機飛行が確認され、空自戦闘機が対応していました。
また、7月、8月、6月にも与那国島と台湾との間を複数の推定中国無人機が飛行するケースが報告されており、防衛省はその都度、緊急発進で対応しています。
南西防衛の緊張、地政学リスクを浮き彫りに
与那国島は台湾本島から約110キロという非常に地理的に近い位置にあり、日台間、日中間の安全保障上の重要拠点です。今回の無人機通過は、中国側による戦略的な偵察活動や示威行動の可能性を示唆せずにはいられません。
こうした飛行は、日本がこのエリアを重要視しており、南西諸島での防衛力強化が必然的に進んでいる現状ともリンクしています。実際、与那国島に対しては地対空ミサイル(中距離面空ミサイル)の配備計画が進んでおり、この地域の抑止力を高める動きが顕著です。
一方で、防衛強化には住民との摩擦や地元の不安も伴っています。軍事拠点化が進むことに対し、「島が緊張の最前線になるのでは」と懸念する声も少なくありません。
自衛隊の即応力と監視機能の強化が急務
今回の通過確認に対して自衛隊は即時に戦闘機を発進させていますが、「通過を確認しただけ」で具体的な追跡や拘束には至っていません。この点から、日本の抑止力だけでなく、検知・追尾・対応能力の継続的強化が不可欠です。
また、無人機による飛行は頻度が増えており、領域の「監視の抜け穴」がないかどうかのチェックが求められています。早期発見のためのレーダー網の強化、データ分析能力、さらには日米などとの情報共有体制を高める必要があります。
さらに、こうした事案が外交リスクとも直結する点も看過できません。中国の無人機活動は、日本の防衛政策や外交政策との緊張を高める材料になり得ます。単なる軍事行動と片付けるのではなく、戦略的な外交・安全保障政策の整備が今、改めて問われています。
結論と今後への視点
今回の無人機通過は、与那国島をめぐる安全保障環境が極めて厳しさを増している現実を改めて示しました。日本としては、ただ受け身で迎撃するだけではなく、抑止力を高めつつ、監視・対応の能力を継続的に強化する必要があります。
同時に、外交面でも冷静かつ戦略的な発信が求められます。地域の軍事的緊張を「対立のエスカレーション要因」とするのではなく、「防衛と対話の両輪」で臨むべきです。また、島々の住民の懸念にも配慮しつつ、防衛拠点化の正当性を国内外に理解させる努力も重要です。
日本が将来にわたって安定した安全を確保するには、単発のスクランブル対応を越えた長期的な体制づくりと、戦略を見据えた外交が欠かせません。