2025-11-18 コメント投稿する ▼
自衛隊ドローン国産化率3割止まり、海外製依存で有事に活動支障も
防衛省は2025年11月18日の衆院安全保障委員会で、陸海空自衛隊が保有している無人機(ドローン)の国産化率が9月末時点で約3割にとどまると明らかにしました。自衛隊保有のドローンの国産化率が公表されるのは初めてとみられます。残りの約7割は米国製やフランス製が多くを占めており、海外製への依存が続けば有事に自衛隊の活動に支障が生じる可能性があります。
維新議員が国産化率向上を促す
日本維新の会の阿部司氏に対する答弁で明らかになったもので、阿部氏は「防衛装備品として使用するドローンが他国の技術に過度に依存すれば、有事における継続的な運用やサイバーセキュリティーの観点から大きなリスクを抱えることになる」として、国産化率を高めるよう促しました。
小泉進次郎防衛相は「日本が自前で国産ドローンをどこまで強化できるかは大事なところだ。しっかり防衛省としても取り組んでいく」と応じ、国産化の重要性を認識していることを強調しました。現在自衛隊に配備されているドローンは主に情報収集用で、偵察や災害対応などの任務に活用されています。
「3割しか国産がないのは安全保障上危険。中国製に頼るわけにはいかない」
「ウクライナ戦争を見ても、ドローンは現代戦の必需品。国産化は急務だ」
「技術流出のリスクを考えれば、軍事用は絶対に国産にすべき」
「価格との兼ね合いもあるけど、安全保障に関わる装備は国産優先で」
「日本の技術力なら十分可能。政府の本気度が問われている」
2026年度に自爆型310機を調達予定
防衛省は2026年度には、爆弾を搭載して敵に体当たりする「自爆型」ドローンを約310機調達する計画を進めています。これは自衛隊にとって初の攻撃型ドローンの導入となり、現代戦における戦術の大幅な転換を意味します。
調達予定の自爆型ドローンは、侵攻してきた敵の車両や舟艇を撃破することを目的としており、イスラエル製、オーストラリア製、スペイン製のドローンで運用試験が行われています。2025年度予算案には約32億円が計上され、今後一般競争入札で機種を決定する予定です。
少子化や中途退職者の増加で隊員不足に悩まされる自衛隊にとって、人的被害を軽減できるドローン活用は急務となっています。特に南西諸島などでの対処力向上を目的として、陸上自衛隊の普通科部隊に配備される予定です。
ウクライナ戦争が示すドローンの重要性
ウクライナとロシアの戦争では、ドローンが戦場のゲームチェンジャーとして機能していることが明らかになっています。ウクライナ軍は毎月1万機のドローンを消耗しているとの試算もあり、現代戦におけるドローンの消耗品としての側面が浮き彫りになりています。
戦力で劣るウクライナ軍がドローンを駆使してロシア軍の戦車や装甲車を撃破する戦況は、従来の軍事バランスを大きく変える可能性を示しています。安価なドローンが高額な戦車を撃破できることから、費用対効果の観点でも革命的な変化をもたらしています。
防衛省はドローンの保有機数を明らかにしていませんが、「まだまだ足りていない」というのが幹部の認識です。政府は2027年度までの5年間で「無人アセット防衛能力」に約1兆円を投じる方針を示しており、防衛力強化の柱に位置付けています。
国産化の課題と展望
自衛隊のドローン国産化が進まない背景には、技術開発の遅れと予算制約があります。防衛省はかつて富士重工業(現SUBARU)と共同でドローンの研究開発プロジェクトを進めていましたが、陸海空の幕僚監部から開発要求が出なかったため、プロジェクトが終了した経緯があります。
「自衛隊はほんの数年前にドローンのニーズはないと言い切っていた」という専門家の指摘もあり、現場のニーズ把握の遅れが国産化の障害となっていました。しかし現在では、陸上自衛隊の師団長から「数百機、すぐにでも欲しい」という声が上がっており、認識が大きく変化しています。
国産化の利点は、技術的な自立性確保とサイバーセキュリティーリスクの軽減です。一方で、開発コストと時間がかかるという課題もあります。現在、国産ドローンメーカーのACSL(自律制御システム研究所)が防衛省航空自衛隊の空撮用ドローンとして採用されるなど、国産化への取り組みが徐々に進展しています。
安全保障戦略での位置づけ
国家安全保障戦略など安保関連3文書の改定に向けた議論では、ドローンの国産化率向上や機数増も重要な論点となる見込みです。政府は2020年9月に「政府機関等における無人航空機の調達等に関する方針」を発表し、セキュリティが担保されたドローンに限定して調達を行う方針を打ち出しています。
特に中国製ドローンへの依存は安全保障上のリスクが高いとされており、経済安全保障の観点からも国産化が急務とされています。アメリカ、インド、オーストラリアなどでも同様の取り組みが国家レベルで進められており、国際的な脱中国製品の流れが加速しています。
今後は国産技術の育成と海外製品の適切な活用のバランスを取りながら、自衛隊のドローン能力向上を図ることが重要になります。特に攻撃型ドローンの導入により、従来の戦術から大きく転換することが予想され、隊員の教育訓練体制の整備も急務となっています。