2025-11-14 コメント投稿する ▼
自衛隊が南シナ海で日米比共同訓練実施、中国の軍事的威嚇に結束で対抗
「自由で開かれたインド太平洋」を支える地域及び国際的協力の強化を目的とし、中国による南シナ海での一方的な現状変更の試みに対する明確な意思表示となっています。 今回の日米比共同訓練は、こうした中国の一方的な現状変更に対する国際社会の結束した対応を示すものです。 今回の訓練は、中国の一方的な現状変更に対する国際法に基づいた対応として必要な措置であり、地域の平和と安定を維持するための重要な取り組みです。
防衛省統合幕僚監部は11月14日、南シナ海において海上自衛隊、米軍、フィリピン軍による日米比3カ国共同訓練を実施したことを発表しました。「自由で開かれたインド太平洋」を支える地域及び国際的協力の強化を目的とし、中国による南シナ海での一方的な現状変更の試みに対する明確な意思表示となっています。
海上協同活動として実施
今回の訓練は「海上協同活動(Maritime Cooperative Activity)」として位置づけられました。海上自衛隊からは護衛艦「あけぼの」と哨戒ヘリコプター1機が参加し、米空母やフィリピンのフリゲート艦などと共に、対潜水艦戦演習や通信確認、海上補給といった訓練を行ったとされています。
訓練の目的は、航行の自由及び上空飛行の自由を支持するとともに、国連海洋法条約(UNCLOS)に反映された国際法上の海上における権利を尊重する活動の実施です。参加した各国の艦艇は、海上自衛隊の護衛艦「あけぼの」、米海軍の空母「ニミッツ」、駆逐艦「グリッドレイ」「ウェイン・E・マイヤー」「レナ・サトクリフ・ヒグビー」、フィリピン海軍のフリゲート艦「ホセ・リサール」「アントニオ・ルナ」、フィリピン沿岸警備隊の巡視船「ケープ・サン・アグスティン」「メルチョーラ・アキノ」となっています。
「南シナ海での訓練は中国への強いメッセージになる」
「自由航行作戦は絶対に必要、国際法を守らせなきゃ」
「フィリピンと連携して中国の横暴を止めるべきだ」
「日本の安全保障にも関わる重要な海域だからな」
「3カ国の結束で地域の平和を守ってほしい」
中国の強い反発と対抗措置
中国軍南部戦区は14日、中国も南シナ海で12、13両日にパトロールを実施したと明らかにした上で、「(フィリピンの)外部勢力の後ろ盾を得ようとする行為は徒労に終わる」と比側を批判したと報道されています。
中国軍は16日、南シナ海で14日に爆撃機の編隊が定期的なパトロールを実施したと発表し、フィリピンが「域外勢力」を取り込み、地域の平和と安定を損なっていると主張したことからも、中国の強い危機感が読み取れます。
南シナ海は中国が「核心的利益」と位置づける海域であり、スプラトリー諸島の7つの岩礁を埋め立てて軍事基地化を進めています。今回の日米比共同訓練は、こうした中国の一方的な現状変更に対する国際社会の結束した対応を示すものです。
オーシャン構想の具体化
中谷元防衛相は5月末、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で講演し、東・南シナ海を含むインド太平洋で関係国が軍事面で協力する「オーシャン」構想を提唱しており、今回の訓練はその具体的な実践と位置づけることができます。
日米、オーストラリア、フィリピンの4カ国は防衛相会談で、東・南シナ海での中国による一方的な現状変更の試みに深刻な懸念を表明し、共同で情報収集や警戒監視、偵察活動の計画を検討することで一致しています。
継続的な訓練の実施
日米比3カ国による南シナ海での訓練は3月にも行われていることからも、この種の共同訓練が定期的に実施されていることが分かります。これは中国による軍事的圧力に対する継続的な抑止力の構築を意図したものです。
ただし、このような軍事的関与の拡大には慎重な配慮も必要です。フィリピンなどは南シナ海で中国と領有権を争い、対立が激化しており、自衛隊がオーシャン構想に基づき周辺海域で軍事的な関与を強めれば、紛争に巻き込まれるリスクは高まるとの指摘もあります。
今回の訓練は、中国の一方的な現状変更に対する国際法に基づいた対応として必要な措置であり、地域の平和と安定を維持するための重要な取り組みです。ただし、軍事的対応だけでなく、外交的解決への努力も並行して進めることが重要であり、法の支配に基づく国際秩序の維持に向けた継続的な取り組みが求められます。