2025-09-19 コメント投稿する ▼
小泉進次郎農林水産大臣がEU環境委員と会談 ウナギ取引規制をめぐる対立と今後
小泉大臣は、「ウナギの問題は簡単ではないが、日本とヨーロッパの友好的な関係を礎に乗り越える必要がある」と強調しました。 さらに、規制強化によって密輸が増え、逆に管理が難しくなる可能性があると指摘しています。
ウナギ取引をめぐる日EU会談の背景
2025年6月、EU=ヨーロッパ連合はニホンウナギ(Anguilla japonica)を含むウナギ属すべてを、国際的な野生生物取引を規制するワシントン条約(CITES)の付属書Ⅱに追加する提案を発表しました。付属書Ⅱに記載されれば、輸出国での許可が必須となり、国際取引に制限がかかります。目的は絶滅の恐れがある種の過剰な流通を抑えることですが、日本政府は強く反対しています。理由は、規制強化により輸入が滞り、国内の供給不足や価格高騰を招く懸念があるからです。
日本は食文化としてウナギを重視し、特に夏の土用の丑の日などに消費が集中します。国内消費の約7割は輸入に依存しており、供給の停滞は大きな経済的打撃につながります。農林水産省はこれまで、中国・韓国・台湾と連携して漁獲制限や稚魚の管理を進めてきたと主張し、国際取引の全面規制は必要ないとの立場をとっています。
「規制は消費者に打撃を与える」
「持続可能な資源管理は既に進んでいる」
「伝統食文化への影響を軽視すべきではない」
「科学的根拠に基づく議論が必要だ」
「国際協調の枠組みを尊重すべきだ」
小泉農相とEU環境委員の会談内容
2025年9月19日、小泉進次郎=現職農林水産大臣は、EUで環境政策を担当するロズウォール委員と東京都内で会談しました。焦点は、11月にウズベキスタンで開催予定のCITES締約国会議を前に、双方の立場の隔たりをどう埋めるかです。小泉大臣は会談後、「事務レベルでの積み上げを大臣間で共有し、建設的な議論を重ねることで一致した」と述べました。
小泉大臣は、「ウナギの問題は簡単ではないが、日本とヨーロッパの友好的な関係を礎に乗り越える必要がある」と強調しました。これに対し、ロズウォール委員は「EUとしても日本とぜひ話し合いを深めたい」と応じました。会談は互いの立場をぶつけ合う場ではなく、将来的な合意形成に向けた基盤づくりの場となったのです。
科学的根拠と対立の焦点
EU側は、ウナギの個体数が過去数十年で大幅に減少していると指摘しています。河川環境の悪化、密漁・密輸の横行、稚魚(シラスウナギ)の過剰採捕が主要因とされ、国際取引を含めた厳格な規制が必要だという立場です。一方、日本側は「取引自体が資源減少の主要因ではない」と反論しています。国内外の研究機関の調査を根拠に、産卵環境や海流変動など自然要因の影響が大きいと説明します。
また、日本は既に稚魚漁獲量を制限し、協調国とともに資源管理の取り組みを進めていると強調します。さらに、規制強化によって密輸が増え、逆に管理が難しくなる可能性があると指摘しています。科学的データの読み方をめぐる立場の違いが、今回の対立の本質といえます。
日本の懸念と今後の見通し
もしCITES付属書Ⅱへの追加が採択されれば、日本のウナギ輸入業者は煩雑な手続きに直面し、供給が遅れる可能性があります。国内市場では価格が高騰し、消費者の負担増につながる恐れがあります。特に夏場の需要期には供給不足が深刻化し、外食産業への影響も大きいでしょう。こうした事態を避けるため、日本政府は交渉で「科学的根拠に基づく柔軟な枠組み」を求めています。
今後の焦点は、11月のCITES締約国会議でどのような決定が下されるかです。EU提案がそのまま採択される可能性は不透明であり、日本は中国・韓国・台湾などウナギ漁獲国との連携を強め、反対票の獲得を目指す構えです。一方、環境保護団体や一部加盟国は規制強化を強く支持しており、議論は難航が予想されます。小泉大臣とロズウォール委員の会談は、立場の溝を埋める第一歩に過ぎないといえるでしょう。
 
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
			       
                    