2025-11-09 コメント投稿する ▼
自民党鈴木俊一幹事長が衆院定数削減「今国会合意困難」と発言、維新の絶対条件が早くも破綻危機
自民党と日本維新の会の連立政権合意書では「1割を目標に衆院議員定数を削減する」と明記されていましたが、早くも実現への道筋が見えない状況が露呈しています。 この発言は、維新が連立の「絶対条件」として掲げた議員定数削減の実現が、当初の想定よりもはるかに困難であることを示しています。
連立の約束が早くも破綻の危機
鈴木幹事長は番組で「会期末までに各党各会派の理解を得るための協議を終え、具体的なところまで決めきるのは、なかなかそうはならないと思う」と率直に述べました。2025年12月17日までの今国会会期を考慮すると、残り1か月余りで全党派の合意を取り付けるのは現実的ではないという判断です。
さらに鈴木氏は、衆院小選挙区の区割り改定に関わる国勢調査の結果が来年秋に出ることを挙げ、「そういう中で、各党各会派と十分理解を深める作業をしなければならない」と時間的制約を強調しました。
この発言は、維新が連立の「絶対条件」として掲げた議員定数削減の実現が、当初の想定よりもはるかに困難であることを示しています。
「約束破った時点で連立終わりでは?」
「維新は連立から離脱するのかな」
「最初から無理だと分かってたでしょ」
「政治家の約束なんてこんなもの」
「また有権者が騙されたのか」
維新の「絶対条件」が揺らぐ
自民党と維新の連立政権合意書では、明確に「1割を目標に衆院議員定数を削減するため、2025年臨時国会において議員立法案を提出し、成立を目指す」と記されています。これは維新側が連立入りの絶対条件として突きつけた要求でした。
維新の吉村洋文代表は連立協議中に「大幅な定数削減を本気でやれるかどうかがポイントだ。そこは譲らない」と表明し、「絶対条件は議員定数の削減だ。12月中にやると決断できないなら、他の改革もできない」と強硬姿勢を示していました。
維新の藤田文武共同代表も「比例でバッサリいったらいい」と述べ、比例代表から50議席程度を削減する案を主張していました。この「身を切る改革」は維新の党是でもあり、大阪府議会でも実際に約2割の議席削減を実現してきた実績がありました。
他党からの強い反発
しかし、この議員定数削減案には各党から強い反発や疑問の声が上がっています。自民党の逢沢一郎座長(衆議院選挙制度に関する協議会)は「いま与野党で議員定数を含めて、あるべき選挙制度を議論中の状況で、自民・維新でいきなり定数削減は論外だ」と厳しく批判しました。
立憲民主党や共産党からは「民意を切り捨てる」「党利党略」との批判が相次いでいます。特に比例代表の削減については、多様な民意の反映機能を弱体化させ、大政党に有利な制度改正だとの指摘があります。
共産党は「維新が自民党との政策的隔たりを隠すための論点のすり替え」「政権入りを優先した党利党略の末に掲げられた偽の改革の旗印」と厳しく批判しています。実際、維新は企業・団体献金の完全禁止を主張していましたが、自民党が応じないと見るや棚上げにして議員定数削減を前面に押し出した経緯があります。
自民党内でも慎重論が優勢
自民党内でも議員定数削減に対する慎重論が強く、党内の一枚岩的な合意は困難な状況です。「自民・維新でいきなり定数削減は論外だ」との声もあり、超党派による幅広い合意を条件とする意見が多数を占めています。
現在、衆議院では各会派の代表で構成する「衆議院選挙制度に関する協議会」で選挙制度改革について継続的に協議が行われています。この協議会での議論を無視して、自民・維新の二党だけで決定することに対する反発は強く、民主主義の手続き論としても問題視されています。
鈴木幹事長の発言は、こうした党内外の反発と現実的な制約を踏まえた冷静な判断と言えるでしょう。
維新は連立離脱に向かうのか
維新は議員定数削減を「絶対条件」と位置付けており、実現しなければ連立離脱も辞さない構えを示していました。鈴木幹事長の発言により、この条件が今国会中に満たされない可能性が高まったことで、連立政権の安定性に重大な疑問符が付くことになります。
ただし、維新にとっても政権から離脱することは大きなリスクです。閣外協力という形で政権に参画することで得られる政治的影響力を失うことになり、党の存在感低下は避けられません。
一方で、「絶対条件」として掲げた公約を簡単に取り下げることは、維新の政治的信頼性に関わる問題でもあります。支持者に対する説明責任も重く、板挟み状態に陥っていると言えるでしょう。
今後の政局は、維新が連立離脱に踏み切るか、それとも条件を緩和して政権に留まるかにかかっています。いずれにしても、選挙時の公約と現実政治の乖離という政治の構造的問題が改めて浮き彫りになった形です。