2025-05-16 コメント投稿する ▼
自民党、データ利活用強化を提言 新法整備と個人情報保護法見直しを推進
自民党、データ利活用強化を提言
自民党のデジタル社会推進本部は16日、日本におけるデータ利活用の現状に対し、新たな法整備の必要性を強調する提言を発表した。提言は、医療や金融、教育分野で官民が保有するデータを互いに共有し、有効活用できる仕組みを整えるべきだと指摘している。また、国民のプライバシー保護にも配慮し、個人情報保護法の見直しを並行して進めることも求められた。
提言は「日本は欧州に比べ、包括的なデータ利活用の枠組みが不十分だ」との見解を示し、2016年に施行された「官民データ活用推進基本法」の抜本的な改正、もしくは新法の制定を検討するよう提案している。これにより、企業の研究開発や行政の政策立案にデータを活用しやすくすることを目指している。
データ利活用と欧州との比較
欧州連合(EU)はデータの利活用を進めるため、包括的な法制度を整えている。たとえば、2023年に成立した「データ法(Data Act)」は、個人データと非個人データの利活用を促進し、官民間のデータ共有を円滑にする仕組みを確立している。また、データガバナンス法も制定し、データ仲介サービスの信頼性を強化している。
一方、日本は各省庁や機関ごとにデータ利活用が進められているものの、包括的な法制度が整っていないため、官民のデータ連携が進みにくいという課題がある。自民党はこの点を問題視し、データ利活用の枠組みを抜本的に見直すことを提案している。
医療データ利活用の可能性
特に医療分野でのデータ利活用は期待が大きい。たとえば、診療履歴や治療データを匿名化し、医療研究や診断支援に活用することが可能になる。これにより、AIを活用した新薬開発や、診療精度の向上が期待される。
しかし、患者のプライバシー保護が優先され、現在はデータの共有が制限されている。自民党は、この点についても法整備を通じて課題を解決し、安全にデータを活用できる仕組みを構築すべきだと提言している。
今後の展望
政府は、内閣官房やデジタル庁、個人情報保護委員会を中心に、データ利活用と個人情報保護のバランスを取るための法整備を進めていく方針だ。今夏を目処に、具体的な方向性を示す予定とされている。
自民党の提言を受け、今後はデータの安全な利活用を推進しながらも、国民のプライバシー権を確保するための制度設計が鍵となる。データ利活用が経済や行政の効率化に資する一方で、個人情報の流出や不正利用を防ぐための仕組みづくりが求められる。