2025-09-12 コメント投稿する ▼
陸自隊員がエイサーまつり初参加 迫力演舞に拍手も一部反発の声根強く
70回目を迎える節目の開催となった今年は、陸上自衛隊第15旅団のエイサー隊が初めて出演した。 一方で、一部の市民団体は「市民感情に反する」として出演に強く反発しており、賛否の声が交錯した。 午後7時、トップバッターとして第15旅団のエイサー隊が登場すると、沿道に集まった観客は大きな拍手で迎えた。
沖縄全島エイサーまつりに陸自隊員が初参加 賛否の声渦巻く
沖縄県沖縄市で12日夜、先祖供養の踊り「エイサー」を披露する「沖縄全島エイサーまつり」が開幕した。70回目を迎える節目の開催となった今年は、陸上自衛隊第15旅団のエイサー隊が初めて出演した。約35人の隊員が力強い演舞を披露し、沿道の観客から大きな拍手が送られた。一方で、市民団体の一部は「市民感情に反する」として出演に強く反発しており、賛否の声が交錯した。
迫力ある演舞に観客が拍手
初日の12日は、伝統的な練り歩き「道ジュネー」が行われた。午後7時、トップバッターとして第15旅団のエイサー隊が登場すると、沿道に集まった観客は大きな拍手で迎えた。太鼓の音が響き渡り、隊員たちは「イーヤーサーサー」の掛け声とともに勇壮な舞を披露。会場は指笛や歓声で熱気に包まれた。
沖縄市の狩俣いつかさん(45)は「日頃から鍛えているから力強さがあり、迫力があった。踊りもきれいにそろっていてかっこよかった」と感想を語った。観客の多くは演舞を楽しみ、隊員の力強さを称賛する声が聞かれた。
「鍛えられた体だから迫力が段違い」
「伝統と力強さが融合していて感動した」
「観光客として見たが、とても華やかで良かった」
「太鼓の響きが胸に響いた」
「迫力満点で、今までにないエイサーだった」
反対する市民団体の主張
一方で、自衛隊の出演に対して反発の声も根強い。市民団体「止めよう辺野古新基地沖縄市民会議」は「市民感情・県民感情からして許されない」として出演中止を要請していた。沖縄戦で亡くなった人々の遺骨収集を続ける「ガマフヤー」も「戦没者も含む先祖の霊は、自衛隊のエイサーを受け入れるだろうか」と疑問を投げかけていた。
沖縄市内の71歳の女性は「自衛隊の参加はすごく抵抗がある。怖いくらいだ」と語り、複雑な感情を示した。自衛隊の存在が戦争の記憶と結びつく地域においては、文化行事への参加が簡単に受け入れられない現実も浮き彫りになった。
伝統文化と現代社会の交差点
エイサーは先祖供養のための伝統行事として、地域社会に深く根付いてきた。その舞台に陸上自衛隊が立つことは、文化と現代社会のあり方を問いかけるものとなった。自衛隊側は地域社会との交流や信頼関係の構築を意図したものとみられるが、沖縄戦の歴史を背負う土地であるがゆえに、賛否両論が激しくぶつかる結果となった。
まつりの実行委員会は市民団体からの出演中止要請を退け、予定通り演舞を実施。行事は大きな混乱もなく進行したが、今後も「文化と自衛隊の関わり方」をめぐる議論は続くとみられる。
エイサーと自衛隊参加をめぐる賛否 伝統と現代社会の接点
今回の第15旅団の参加は、沖縄の伝統文化と自衛隊の存在が交わる新しい試みである。観客を魅了する力強い演舞であった一方、歴史的背景や地域感情から受け入れに抵抗を示す声も根強い。今後、文化行事への自衛隊参加がどのように位置付けられるのか、地域社会の対話が求められている。