2025-12-16 コメント投稿する ▼
超党派スポーツ議連が賭博対策PT設置 山下貴司元法相座長で法整備検討
役員会では、海外で合法化が進む「スポーツベッティング」について、国内での解禁をしない方針を改めて確認した。 しかし現実には、海外のスポーツベッティング業者が日本語サイトを開設し、「海外で合法だから問題ない」「グレーゾーンだ」といった虚偽の宣伝で日本人利用者を獲得している。 スポーツ界の賭博問題についても、単なる取り締まり強化にとどまらず、根本的な法整備による解決を目指すとみられる。
超党派のスポーツ議員連盟が2025年12月16日、国会内でスポーツ界の賭博問題に対処するプロジェクトチーム(PT)設置を決定した。山下貴司元法相が座長を務め、法整備も含めた包括的な対策を検討する。議連会長の麻生太郎副総裁は「今からきちんとやっておかないと、後悔することになりかねない」と危機感を表明した。
違法スポーツ賭博市場が急拡大
PT設置の背景には、違法スポーツ賭博の急激な拡大がある。スポーツエコシステム推進協議会によると、2024年に日本居住者が海外スポーツベッティングサイトを利用した違法賭博の市場規模は約6兆5千億円に達した。このうち日本のスポーツを対象とした賭け金だけで約1兆円に上り、合法のスポーツ振興くじ(toto)の売上約1336億円を大幅に上回る規模となっている。
特に深刻なのはプロ野球への賭けで約5281億円、サッカーJリーグなど約3334億円と、国内スポーツが主要なターゲットとなっている現状だ。
海外では、この違法市場を背景とした八百長や選手・審判への脅迫、誹謗中傷が深刻化している。米大リーグやNBAでも選手や関係者による不正が発覚しており、スポーツの根幹である公正性・公平性が脅かされている。
スポーツベッティング解禁は見送り
役員会では、海外で合法化が進む「スポーツベッティング」について、国内での解禁をしない方針を改めて確認した。現在の日本では、競馬法や自転車競技法、スポーツ振興投票の実施等に関する法律など特別法で許可されたもの以外のスポーツ賭博は刑法の賭博罪(185条)に該当し違法となる。
しかし現実には、海外のスポーツベッティング業者が日本語サイトを開設し、「海外で合法だから問題ない」「グレーゾーンだ」といった虚偽の宣伝で日本人利用者を獲得している。警察庁の調査では、オンラインカジノ利用者の約4割が「違法と知らずに利用していた」と回答しており、違法性の認識不足が深刻な問題となっている。
「スポーツベッティングって違法だったの?有名人がCMに出てたから合法だと思ってた」
「海外サイトなら大丈夫って言われて始めたけど、実は犯罪だったなんて」
「プロ野球に賭けてたけど、これって選手の八百長に繋がるかもしれないのか」
「totoと何が違うのかわからない、もっと分かりやすく説明してほしい」
「違法市場が6兆円って異常だよ、政府はもっと早く対策すべきだった」
山下元法相がPT座長に就任
PTの座長に就任する山下貴司氏は、法務大臣経験者で検察官出身という異色の経歴を持つ。東京地検特捜部での捜査経験や法務省での国際刑事企画官としての知見を活かし、スポーツ界の不正対策に法的な観点から取り組む方針だ。
山下氏は自民党の知的財産戦略調査会長やライブ・エンターテインメント議員連盟事務局長として、チケット不正転売禁止法の制定にも関わった実績がある。スポーツ界の賭博問題についても、単なる取り締まり強化にとどまらず、根本的な法整備による解決を目指すとみられる。
企業・団体献金と利権構造の課題
スポーツ賭博対策を考える上で見逃せないのが、既存の公営競技を巡る利権構造だ。競馬は農林水産省、競輪・オートレースは経済産業省、競艇は国土交通省が所管し、それぞれ関連団体との密接な関係を築いている。
totoを運営する日本スポーツ振興センターも文部科学省所管で、スポーツ界への資金提供を通じた影響力を持つ。新たなスポーツベッティング制度の導入には、こうした省庁間の縄張り争いや関連業界の利益調整が不可欠となる。
一部の経済界からは「スポーツベッティング解禁により年間7兆円規模の市場創出が可能」との声も上がるが、その場合の収益配分や監督官庁をどこにするかが大きな争点となる。企業・団体献金を通じた政治への影響も懸念される分野だけに、透明性の高い制度設計が求められる。
国際的な対策枠組みも検討課題
欧州では2014年に「スポーツ競技の操作に関する欧州評議会条約(マコリン条約)」が締結され、43カ国が署名、15カ国が批准している。同条約は八百長防止とスポーツベッティング業者の責務を規定しており、日本も参考にすべき国際的な枠組みといえる。
しかし日本では同条約の認知度すら低く、国際協力体制の整備が遅れている。PTでは法整備とともに、こうした国際的な対策枠組みへの参加も検討すべき課題となる。
スポーツ界の賭博問題は、単なる取り締まり強化だけでは解決困難な構造的課題だ。違法市場の拡大を許してきた政府の対応の遅れも指摘される中、PTには実効性のある対策が求められている。スポーツの健全性を守りつつ、必要な財源確保との両立を図る知恵が試される。