2025-06-30 コメント投稿する ▼
日米関税協議が停滞 自動車関税で平行線、日本に求められる戦略的対応とは
日米関税協議に停滞感
自動車関税で平行線 「戦略なき日本」に懸念も
トランプ氏との交渉に進展なし
日米間の関税協議が行き詰まりを見せている。特に焦点となっている自動車関税を巡っては、両国の溝が埋まらず、着地点は依然見えないままだ。
石破茂首相とトランプ米大統領は6月16日に直接会談したものの、目立った合意には至らず、その後の6月27日の7回目となる閣僚協議でも具体的な前進は見られなかった。
赤沢亮正経済再生担当相は協議後、「実りある議論を行った」と前向きな言葉を口にしたが、同時に「五里霧中の状況は変わっていない」と、実質的な成果が乏しかったことも認めた。
米側の交渉姿勢は強硬
今回の協議では、米交渉団の中心人物であるベセント財務長官との面会が実現せず、交渉の重み自体が後退した印象を与えた。次回の協議日程も未定であり、関税協議は事実上の停滞に突入している。
日本側は、米自動車産業への投資や部品供給などの貢献度に応じて関税を段階的に緩和する案を提示してきたが、トランプ氏はこれに耳を貸さない。むしろ、日本の姿勢を「不十分」と捉え、25%の追加関税の可能性を再び示唆している。
日本政府は「慎重対応」
青木一彦官房副長官は30日の記者会見で、「トランプ氏の発言の逐一にコメントすることは差し控える」と述べるにとどまり、日本側の慎重姿勢を強調。外交的配慮を優先して強く出られない姿勢がにじむ。
しかし、こうした「受け身の構え」が長引くことで、日本の立場が徐々に不利になる懸念もある。
専門家「日本は戦略を練り直すべき」
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、「自動車関税が25%に据え置かれるような事態は、交渉としては“下の下”の結果。日本は受け身に回らず、主体的に戦略を練るべきだ」と指摘する。
熊野氏によれば、単に譲歩を重ねるだけではトランプ氏の強硬姿勢を助長する可能性もあり、日本としての“譲れないライン”を明確に打ち出すべきだという。
期限迫る、出口は見えず
現在、相互関税の上乗せ分の一時停止期限は7月9日に迫っている。米財務省は、期限後も協議を継続する可能性を示唆しているが、交渉の進展が見られなければ、日本は10%から最大24%の追加関税リスクにさらされる。
トランプ氏が選挙を控え、“対外強硬姿勢”を鮮明にする中、日本がどこまで自国の産業と市場を守れるかが、今後の経済外交の大きな試金石となる。