2025-06-27 コメント投稿する ▼
赤沢経済再生担当相、米国で関税交渉の最終局面へ 自動車関税引き下げなるか
関税交渉は大詰めへ
米ワシントンで27日、赤沢亮正経済再生担当相がラトニック米商務長官と会談した。今回で7回目となる閣僚間の関税交渉は、トランプ米政権下で導入された高関税政策の見直しを巡る重要局面を迎えており、双方の思惑が交錯する中で行われた。焦点は日本が「国益」と位置付ける自動車への25%の追加関税の大幅引き下げに絞られている。
この交渉の行方は、7月9日に設定された相互関税の上乗せ停止期限、さらには7月20日の参議院選挙にも影響を及ぼしかねない。日本政府にとっては、外交成果として有権者に訴える意味でも、何としても一定の合意を引き出したいところだ。
65分間の交渉、合意は近いのか
赤沢氏とラトニック氏の会談は約65分にわたって行われた。非公開で進められた内容の詳細は明らかにされていないが、交渉は終始緊迫した雰囲気の中で展開されたという。ラトニック氏は前日に出演した米国のテレビ番組で、「10の貿易相手と交渉が進んでおり、来週には多数の合意を発表する予定だ」と発言しており、日米交渉もその一つに含まれる可能性がある。
一方、関係筋によると、トランプ政権は国内の製造業支援を名目に、自動車の追加関税に強硬姿勢を崩していない。米中対立が続く中、アジアの同盟国である日本との関係維持も重要だが、選挙を意識した政権側のパフォーマンス要素も否定できない。
首脳会談不調のツケ、閣僚交渉に重圧
今月16日に行われた石破茂首相とトランプ大統領の首脳会談では、追加関税を含む日米通商交渉について具体的な合意には至らなかった。このため、閣僚間で協議を続けることで一致したが、合意を得られなかった背景には、米側の「譲歩を引き出す」戦略が見え隠れする。
米国が4月に発動した自動車への25%の関税は、日本の自動車産業にとって致命的な打撃となる可能性があり、政府としてはこの引き下げを最優先課題と位置づけている。交渉の成否は、日本の産業構造と国民生活に直結するだけに、単なる「外交イベント」として片づけるわけにはいかない。
有権者の視線も厳しく
参院選を目前に控え、日本政府としては「経済重視」の姿勢をアピールする絶好の機会でもあるが、交渉結果が芳しくなければ逆風となるリスクもはらんでいる。岸田政権が掲げる「成長と分配の好循環」も、国際交渉で成果を得られなければ絵に描いた餅に終わるとの懸念が広がっている。
一方で、ネット上では政府の対応に対し様々な声が上がっている。
「これでまた譲歩したら国民は黙ってない」
「自動車関税が上がったら地方の雇用が壊滅する」
「参院選前に成果アピールって、選挙目当てにしか見えない」
「アメリカの圧力に屈するな。自国の産業は自分たちで守るべき」
「どうせまた“実質的合意”とかあいまいな言葉でごまかすのでは」
こうした声が示す通り、政府への信頼感は交渉結果次第で大きく揺らぐ可能性がある。経済だけでなく外交手腕、そして選挙戦略に至るまで、今回の交渉は日本の政権運営にとって極めて重い意味を持っている。
日本の交渉力が問われる場面
外交交渉では、譲歩のタイミングやラインの引き方が国益を大きく左右する。単に関係を「円滑に保つ」ことに重点を置くのではなく、いかにして日本の実利を確保するか。今後の世界情勢や通商秩序の変化に備え、柔軟かつ戦略的な姿勢が求められている。
とりわけ、自動車産業を中心とする日本の基幹産業を守るためには、妥協ではなく、明確な成果が必要だ。赤沢担当相にとって今回の訪米は単なる儀礼ではなく、国の将来を担う重要な交渉そのものである。