2026-03-26 コメント投稿する ▼
石炭火力の運転制限を1年間解除 LNG危機とホルムズ封鎖が迫った脱炭素への逆行
政府は2026年3月26日、非効率な石炭火力発電所の稼働率を50パーセント以下に抑えるよう発電事業者に求めてきた運転制限を、2026年4月から1年間限定で解除する方針を固めました。 石炭は中東依存度が低く、電力安定供給の「緊急の盾」として活用する狙いがあります。 - 政府は2026年3月26日、石炭火力の稼働率50パーセント制限を2026年4月から1年間解除する方針を決定。
石炭火力の運転制限を1年間解除 LNG不足備えての緊急措置
政府は2026年3月26日、非効率な石炭火力発電所の稼働率を50パーセント以下に抑えるよう発電事業者に求めてきた運転制限を、2026年4月から1年間限定で解除する方針を固めました。2026年2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃を契機にホルムズ海峡が事実上封鎖され、液化天然ガス(LNG)の調達が困難になるリスクが高まっているためです。石炭は中東依存度が低く、電力安定供給の「緊急の盾」として活用する狙いがあります。経済産業省が2026年3月27日に開く有識者会議で方針を示します。
なぜLNGだけこれほど危険なのか ホルムズ海峡封鎖がもたらす構造的な弱さ
今回の措置が必要になった背景には、LNGというエネルギーが持つ構造的な弱さがあります。石油には国家備蓄(国内に約250日分)が整備されている一方、LNGは液体状態の維持が難しく長期備蓄が極めて困難で、実質的な在庫は数週間分に限られます。2024年度の日本の電源構成は天然ガス火力が31.8パーセントと最大の電源となっており、このLNGがカタールなど中東から約1割を輸入しています。
2026年3月2日にイランがホルムズ海峡の閉鎖を宣言してから約4週間が経過し、通過船舶数は通常時の3パーセント程度にまで激減しました。LNG輸出の世界シェア約20パーセントを占めるカタールは、同月4日に自国のラスラファン施設が攻撃を受けてLNG生産を停止しました。世界LNG市場は週150万トンもの供給を失い、スポット価格は一時39パーセントも急騰しました。
「緊急事態だから仕方ないが、脱炭素の方針と逆行することは長期的には問題だと思う」
「LNGの在庫が数週間分しかないとは知らなかった。エネルギー安全保障の深刻さを実感した」
「石炭で凌ぎながら原子力の再稼働も加速させないと、本当の意味での安定供給にはならない」
「現在の物価高は長年の自民党政策の失策だ。エネルギー依存度を下げる抜本策が必要だ」
「1年限定というが、情勢が長引けば延長になるのではないか。出口戦略が見えない」
今回の措置の仕組み 容量確保金の減額停止とは
今回の緊急措置は「石炭火力を新たに建設する」のではなく、既存の待機電源を非常時に使いやすくする運用変更です。稼働率が50パーセントを超えた場合に発電事業者が受け取れる「容量確保金」を減額するペナルティ制度を、2026年度の1年間だけ適用しないとする内容です。
脱炭素と安定供給の板挟み 1年限定の先に何があるか
今回の措置は脱炭素の流れに明らかに逆行します。政府のエネルギー基本計画では温室効果ガス削減のため非効率な石炭火力を段階的に減らしていく方針が示されており、「1年限定」の緊急措置が本当に限定されるかは予断を許しません。中東情勢が長引けば延長を迫られる可能性もあります。現在の物価高は数十年にわたるエネルギー政策の構造的問題の結果でもあり、緊急の物価対策として財政出動や減税と並行して、原子力の再稼働促進や再生可能エネルギーの拡大整備など、エネルギー調達の多角化を急ぐことが一刻の猶予も許されない課題です。
---
まとめ
- 政府は2026年3月26日、石炭火力の稼働率50パーセント制限を2026年4月から1年間解除する方針を決定
- 2026年2月28日の米・イスラエルによるイラン攻撃を契機にホルムズ海峡が事実上封鎖、LNG調達危機が背景
- LNGは石油と異なり長期備蓄が困難で実質在庫は数週間分、カタールのLNG生産停止でスポット価格が一時39パーセント急騰
- 石炭火力は中東依存度が低く、電力安定供給の「緊急の盾」として活用
- 今回の措置は石炭火力の新設ではなく、既存の容量確保金減額ペナルティを1年間適用しない運用変更
- 脱炭素政策に逆行する緊急措置であり、原子力再稼働や再エネ拡大など中長期のエネルギー戦略の加速が急務