2025-11-01 コメント: 2件 ▼
外国人の国民健康保険、保険料「前納」可能に 厚労省通知で未払い対策強化
厚生労働省は2024年10月29日付で、外国人が国民健康保険に加入する際に保険料を前納させることができるよう、関連条例の改正例を示した通知を全国の自治体に出しました。 外国人による医療費と保険料の未払い問題が深刻化する中、未払い防止を狙った制度転換として早ければ2026年4月にも導入される見通しです。
未払い実態の深刻化
厚生労働省は2024年10月29日付で、外国人が国民健康保険に加入する際に保険料を前納させることができるよう、関連条例の改正例を示した通知を全国の自治体に出しました。外国人による医療費と保険料の未払い問題が深刻化する中、未払い防止を狙った制度転換として早ければ2026年4月にも導入される見通しです。
通知によると、前納の対象者は保険料を課す前年度の1月1日時点で日本国内に住民登録をしていない人が世帯主の場合とされています。国籍による差別を避けるため、日本人も対象に含まれます。導入する自治体では最大1年分の保険料を前払いさせることが可能になり、支払期限を過ぎても納付がなければ、対象者の財産を強制的に差し押さえる「滞納処分」を進めることもできます。
外国人の納付率が3割にも及ばない
厚労省が2024年末時点で150市区町村を対象に実施した調査は、外国人の国保納付率の深刻さを明らかにしました。外国人の納付率は63%にとどまり、日本人を含めた全体の93%より30ポイント以上下回っています。2023年度の国保加入者のうち外国人は4%(97万人)ですが、滞納による医療機関への負担増も問題になっています。
新宿区のように外国人人口の割合が高い地域では納付率がさらに低下し、47%という自治体も報告されています。言語障壁や制度理解の不足、そして転出による還付手続きの複雑さなど、複数の背景要因が指摘されています。
「特別な事情」で対象から除外も可能
通知では、前納の対象から除外される場合についても明記しました。世帯の人数が多く年間保険料が高額になる場合や、年度内に転出して還付手続きが発生する可能性が高い場合など、「特別の事情」があれば市区町村などの判断で柔軟に対応することができます。
外国人患者の医療費未払いをめぐっては、これまで医療機関が負担してきた経営課題も大きな問題でした。訪日・在留外国人による医療費未払いは医療機関の経営を圧迫し、政府も医療費不払い経歴のある外国人への入国審査厳格化を進めています。
「外国人の医療費未払いはもう深刻。医療現場も限界」
「保険制度の説明をもっと多言語化して欲しい」
「前納制度は必要だけど、制度周知が大事では」
「転出予定者まで前納させるのは、還付トラブルが増えるのでは」
「雇用主にも責任を持たせるべきだと思う」
国保財政への影響は軽微の可能性
注目すべきは、外国人の医療費使用額です。河野太郎衆議院議員が2025年2月に公開した資料によると、国民健康保険に加入している外国人の医療費は合計1,250億円で、全体の1.4%弱にすぎません。外国人被保険者は被保険者数の3.6%であることから、実は国民健康保険財政にむしろプラスの効果がある可能性も示唆されます。外国人の平均年齢が若く、一人当たり医療費も日本人より低いためです。
法制度の一層の整備へ
今回の通知に加え、政府は社会保険料や医療費の未納がある外国人について、在留資格の更新や入国審査を厳しくする方針も進めています。法的強制力をもつ前納制度は、外国人受け入れ拡大とともに社保制度の適正運用を両立させるための施策といえます。
ただし、制度の運用段階では多言語対応による周知徹底や、実際に払える経済状況の把握など、丁寧な実装が求められることになるでしょう。