2025-10-30 コメント投稿する ▼
上野賢一郎厚労相「OTC類似薬保険外し・高額療養費改定を推進」現役世代負担抑制へ改革加速
上野賢一郎厚生労働相は2025年10月30日、産経新聞などのインタビューに応じ、現役世代の社会保険料負担を抑制するため、OTC類似薬の公的医療保険適用見直しと高額療養費制度の改定を進める方針を明言しました。
上野賢一郎厚生労働相は2025年10月30日、産経新聞などのインタビューに応じ、現役世代の社会保険料負担を抑制するため、OTC類似薬の公的医療保険適用見直しと高額療養費制度の改定を進める方針を明言しました。社会保障制度の持続可能性を最優先としながらも、医療・介護現場への補助金支給を急ぐなど、現役世代負担軽減と医療現場の経営支援の両立を目指す姿勢を示しています。
OTC類似薬の保険外し、国民負担を巡る議論本格化
OTC類似薬とは、湿布薬や解熱鎮痛薬、花粉症薬といった市販医薬品と効能が同じ処方薬を指します。現在これらは医療保険が適用され、患者の負担は1~3割ですが、保険外しによって全額自己負担となります。政府は2025年6月に自民・公明・維新3党で合意し、2026年度からの段階的実施を目指しています。
上野厚労相は「医療機関における必要な受診を確保し、子どもや慢性疾患患者、低所得者の負担に配慮しつつ検討する」と述べ、見直しが一律的にならないよう配慮する姿勢を示しました。
「薬代が高くなるので、必要な薬を諦めざるを得ない」
「難病患者の治療継続が困難になると言われています」
「政府は急いで結論を出さないで、当事者の声を聞いてほしい」
「95%が保険適用除外に反対と答えた」
「働くこと、生きることが難しくなる恐れがある」
一方、患者団体からの反発は強まっています。2025年10月29日には難病患者ら約5700人がアンケートに参加し、95パーセント以上が保険適用除外に反対と回答。魚鱗癬を患う子を持つ親からは「薬代負担増で症状悪化が心配」との声が相次いでいます。
高額療養費改定と最低賃金引き上げ、スケジュール遅延と実現課題
患者の医療費負担を一定に抑える高額療養費制度の見直しについては、上野厚労相は「12月に差し掛かる形になるだろう」とし、当初方針の秋までの結論出しが遅れる見通しを示しました。石破前首相が掲げた目標からのズレです。政府は当初2025年8月からの段階的な負担上限額引き上げを予定していましたが、患者団体や参院選を控える与党内から反対の声が相次ぎ、見送られた経緯があります。
政府が掲げる「2020年代に最低賃金全国平均1500円」の目標達成に向け、上野厚労相は中小企業支援の必要性を強調しました。2025年度の最低賃金は全国加重平均で時給1118円に引き上げられ、過去最大の6.0パーセント上昇率となっています。目標達成には2025年から2029年にかけて年平均7.3パーセントの引き上げが必要で、厚労相は「中小企業・小規模事業者の生産性向上支援や賃上げ環境の整備に継続して取り組む」と述べています。ただし、地方の小規模企業では「収益悪化で事業継続が困難」との声が2割を超えており、中小企業の二重苦が懸念されています。
医療・介護現場への補助金と労働時間規制の課題
一方、高市早苗新首相は医療機関や介護施設への補助金支給を急ぐ方針を表明しており、上野厚労相も全面的にサポートする立場です。「物価高騰や医療需要の急激な変化のほか、職員の処遇改善が不可欠」と指摘し、補正予算や総合経済対策に医療・介護支援策を盛り込む考えを強調しました。診療報酬改定を待たずに補助金で現場を支える戦略で、医療機関の経営難と人手不足への対応を急ぐ姿勢が際立っています。
高市首相が掲げる労働時間規制の緩和については、上野厚労相は「さまざまな意見を真摯に受け止め、働き方の実態やニーズを十分に検討する」と述べ、「誰もが健康的で、働きやすい働き方を選択できることが大切」とのバランスの取れた方針を示しました。規制緩和によって過労が増えないよう、慎重な進め方を目指しています。
これら改革が本来目指すのは、医療保険制度の維持です。高齢化に伴う医療費の増加が続く中、現役世代の負担増を抑えることが急務とされています。OTC類似薬の保険外し、高額療養費引き上げ、最低賃金引き上げという三つの改革は、いずれも現役世代と患者・労働者の負担増を意味する一方、医療・介護現場への補助金支給は改革の影響を和らげつつ現場の危機的状況に対応する施策です。実現可能性を巡る議論も続いており、OTC類似薬の対象品目が決まっていない点、最低賃金目標達成時期の柔軟性、医療現場支援の継続性など、課題は山積しています。政府は2025年末までにこれらの詳細を詰める予定ですが、患者と企業、労働者の多元的な利益調整が避けられない状況にあります。