2025-05-27 コメント投稿する ▼
腎臓病患者に「緩和ケア」の選択肢を 自民有志が提言 透析困難者支援に新たな一歩
腎臓病患者への緩和ケアを国が後押しへ 自民有志が提言提出
透析の継続が難しい腎臓病患者に対して、心身の苦痛を軽減する「緩和ケア」の重要性を訴える動きが広がっている。自民党の国会議員有志で構成される勉強会(代表:上川陽子衆議院議員)は5月27日、こうした患者に必要なケアを確実に届けるための制度整備を求める提言書を、福岡資麿厚生労働大臣に提出した。
上川議員は「苦しんでいる方々に現実的な支援が届くよう、できる限り迅速に対応したい」と語り、国としての取り組み強化に意欲を見せた。
透析困難な患者にも選択肢を 提言のポイント
今回の提言は、透析を継続できなくなった患者が、限られた治療選択肢の中で尊厳ある人生の終末期を過ごせるよう、医療体制の充実を訴えている。具体的な提案内容は次の通り。
* がん患者向けの鎮痛薬を、腎臓病患者にも安全に使用できるよう制度を見直し、診療報酬の適用範囲を広げる。
* 自治体、医師会、介護事業者などが連携する「地域モデル」を試行し、全国に波及させる体制を構築する。
* 関連する専門学会に対して、治療中止と緩和ケアの選択肢に関する指針の策定を要請する。
これらはすでに緩和ケアが一定程度進んでいるがん医療の枠組みを、腎臓病にも広げようとする試みであり、「延命だけでなく、苦痛のない日常をどう支えるか」に重点が置かれている。
背景には高齢化と医療現場の苦悩
腎機能が慢性的に低下するCKD(慢性腎臓病)は高齢者に多く、透析治療の継続が困難になるケースが増加している。特に高齢で合併症のある患者は、身体的・精神的負担から透析を断念せざるを得ない状況に直面している。
しかし、透析をやめる=「何もできない」という社会的認識が根強く、緩和ケアへの理解や受け入れはまだ途上だ。加えて、緩和ケアに対応できる医師や看護師の数も限られており、制度的な後押しがなければ対応が追いつかないのが現実だ。
今回の提言には、ノンフィクション作家・堀川惠子氏も同席。現場で取材した経験から、患者の尊厳と家族の安心感を支える体制が必要であることを強調した。
「選べる医療」の実現へ 国民の関心も高まる
SNSでもこの取り組みに共感や応援の声が相次いでいる。
「透析をやめたら終わりじゃない。苦しまずに過ごす選択肢があるということを広めてほしい」
「腎臓病患者にもがん患者と同じように緩和ケアを受けられる体制を早く作って」
「医療者にとっても判断が難しい分野。国のガイドライン整備は歓迎」
「命の質(QOL)を考える上で、選択肢が増えることは良いことだと思う」
「緩和ケアを受けたいと言える社会になってほしい」
こうした声は、治療中心から「その人らしい生活」へと医療のあり方が変わりつつあることを示している。
今後の展望と課題
厚生労働省はこの提言を受け、緩和ケアの対象拡大や診療報酬の見直しなどについて、具体的な検討に入る見通しだ。ただし、医療現場の人材不足や予算確保といった課題もあり、迅速な制度化には時間がかかる可能性がある。
また、地域ごとの体制格差をどう是正するか、患者と家族に十分な情報提供が行き渡る仕組みをどう整えるかも問われている。