2025-06-29 コメント: 2件 ▼
自民・後藤氏「減税より給付が得策」強調も反発の声 物価高対策で国民との温度差鮮明に
自民・後藤氏「減税より給付が得策」強調も疑問の声 物価高対策めぐる本気度が問われる
「消費税減税は不公平で遅い」後藤氏が強調 秋の実施は困難と主張
参院選の公示を目前に控えた6月29日、NHKの日曜討論には与野党10党の政策責任者が集結。物価高騰が続く中で、家計をいかに支えるかが大きなテーマとなったが、焦点となったのは自民党の後藤茂之政調会長代理の発言だった。
後藤氏は、与党として掲げる「給付金による物価高対策」にあらためて理解を求めたうえで、野党が相次いで主張する「消費税減税」には強く否定的な見解を示した。
「消費税は社会保障の財源として非常に重要だ」としたうえで、仮に今年秋に減税を決定しても「システム改修などの準備に時間がかかり、実施は来年度後半になる」と主張。即効性のある政策ではないと断じた。
さらに、消費税減税によって「高所得者ほど得をする」との逆進性問題を指摘。「所得に応じた給付であれば、迅速かつ公平に支援ができる」と述べ、給付こそが“現実的な対策”だとアピールした。
「1年以上早い」と強調も 過去の給付金対応への不信感が根強く
しかし後藤氏の主張には、現実とのギャップを指摘する声も多い。とくに「1年以上早く支援を届けられる」との発言に対しては、「それならなぜ前回の給付金は何カ月もかかったのか」といった疑問がネット上に噴出した。
「システム改修が理由って言うけど、給付金も時間かかってたじゃん」
「結局、誰がどのくらいもらえるか分からないのが給付の問題」
「だったら最初から“取らない”方が簡単じゃないの?」
「公平に配るって言うけど、線引きがおかしくて毎回もめてるよね」
「減税は一律でわかりやすい。スピード重視ならそっちでしょ」
過去の特別定額給付金やコロナ禍の支援金をめぐる経験から、給付金=迅速というイメージは国民の中に根付いていない。むしろ「申請手続きの煩雑さ」や「対象外の人が多かったこと」が強く記憶に残っている。
なぜ消費税減税にここまで慎重なのか 財源論の裏にある“政治的都合”
後藤氏が繰り返し強調したのは「社会保障の財源として消費税は欠かせない」という論点だ。だがこの“財源神話”を盾にした減税否定論には、政治的なバイアスがあると指摘する専門家もいる。
なぜなら、政府支出の無駄や海外への過剰な援助、国会議員の待遇見直しといった“削れるはずの支出”には手をつけず、国民からの徴税に固執しているからだ。
さらに、システム改修の問題にしても、マイナンバーやインボイス制度の導入には膨大な予算とリソースが投入されている。それに比べれば、消費税率の一時的引き下げが実現不可能だという説明には説得力を欠く。
「減税は高所得者優遇」論のすり替え 逆進性は既に存在
後藤氏は、「消費税減税は高所得者ほど得をする」と述べたが、これは逆進性の本質をすり替えた議論だ。
消費税は、もともと所得の低い人ほど負担が重くのしかかる逆進的な税制であり、これを減税することは“低所得者にとって相対的に大きな恩恵”をもたらす。すなわち、生活必需品を日常的に購入している人たちこそ、減税によって大きな助けを受ける。
加えて、給付金では対象外となる中間層にも減税は効果があるため、「線引きによる不公平感」も解消できる。結局のところ、制度の設計次第でいくらでも「公平性」は担保できるにもかかわらず、それを否定すること自体が政策的怠慢だと言える。
選挙に向けて「給付金頼み」の与党 生活者は構造改革を求めている
給付金によって一時的に生活を支えるのは否定されるべきではない。だが、何度も繰り返されてきた「バラマキ」と「場当たり的支援」への不信感は、もはや国民に浸透している。
後藤氏は「給付は1年以上早くできる」と語ったが、物価高による生活苦は“今”起きている。であればこそ、消費者が即座に恩恵を受けられる「減税」という選択肢を真剣に検討すべきではないか。
現在の物価上昇に対して、スピード感のある構造的対策を求める声は日に日に強まっている。減税こそがその突破口になるという考えが、政権側から出てこないこと自体が、むしろ“停滞”の象徴なのではないか。