2026-03-24 コメント投稿する ▼
ドバイ渡航中止勧告後も日本馬が出国、鈴木憲和農水相「ペナルティーなし」に問われる自己責任ルールの整備
外務省がアラブ首長国連邦(UAE)に対してレベル3の渡航中止勧告を発令した後、日本中央競馬会(JRA)所属の競走馬3頭と関係者がドバイへ渡航していたことが2026年3月24日の参院農林水産委員会で明らかになりました。鈴木憲和農林水産相(自由民主党・山形2区)は、渡航した関係者に対しJRAも農水省もペナルティーを科す考えはないと答弁しました。国家の安全勧告を無視した行動に対してペナルティーが科されないという事態は、今後同様のケースが生じた際のルール整備の必要性を浮き彫りにしました。
何が起きたか、経緯を整理する
2026年2月28日、米国とイスラエルがイランを攻撃し、その余波がドバイにも及びました。UAE内の米軍関連施設だけでなく、国際空港や金融地区、高級ホテルなどにも被害が出る危険な状況が続いていました。外務省は2026年3月5日、UAEに対する危険情報レベルを「レベル2(不要不急の渡航中止)」から「レベル3(渡航中止勧告)」に引き上げました。これを受けてJRAは職員の現地派遣を中止し、2026年3月28日に開催予定の国際競走「ドバイワールドカップデー」の国内での馬券発売も見送りを決定しました。
しかし、フォーエバーヤング(牡5歳、栗東・矢作芳人厩舎)など滞在中の6頭のうち3頭が帰国した一方、2026年3月6日に別の3頭と関係者が日本を出国し、渡航中止勧告が出ている現地へ向かいました。JRAは関係者に渡航自粛と滞在馬の帰国を「推奨」していましたが、法的強制力はなく、渡航を止める手段がありませんでした。JRAが自ら「職員を行かせられない」と判断した危険地帯に、民間の調教師や馬主が馬とスタッフを送り込んだ格好です。
「法的強制力がない」だけで終わっていいのか
参院農林水産委員会では、立憲民主党(立憲)の石垣のり子氏が強く問題を指摘しました。石垣氏は「JRAは農林水産省の監督下に置かれている特殊法人です。JRA自身が職員を行かせられないと判断する危険地帯に、部下と馬を送り込む行為は労働契約法上の安全配慮義務違反ではないか。また国際的なアニマルウェルフェア(動物福祉)の精神にも著しく反する行為ではないか」と追及しました。
さらに石垣氏は「JRAから免許を受けて公的な後ろ盾で活動する調教師や馬主が、王室からの招待とはいえ、国の勧告を無視して遠征を強行した」と批判しました。厩舎スタッフは調教師に雇用されている労働者という不利な立場であり、危険地帯に行きたくなくても雇用主に逆らうことは難しいという弱者の視点も、石垣氏は明確に示しました。馬は自ら拒否することもできません。
「勧告を無視して行って何かあったとき、救助を要請するのか。自己責任のルールを明確にすべきだ」
「国の勧告に逆らっておきながらペナルティーなしとは。公的な後ろ盾を受けている業者に甘すぎる」
「厩舎スタッフが嫌でも行かざるを得なかった可能性があるなら、これは労働問題でもある」
「馬は自分で判断できない。危険な地域に競走馬を連れ込む行為はアニマルウェルフェア違反では」
「フォーエバーヤングが心配だけど、そもそも渡航中止勧告後に行かせた判断は正しかったのか」
農水相答弁が示す「法的根拠なき自粛」の限界
鈴木憲和農水相は委員会で「海外安全情報に法的な強制力はない」と述べた上で「JRAも農水省も何らかのペナルティーを科す考えはない」と明言しました。そして「JRAとともに改めて関係者からよく話を聞いた上で、さらなる安全確保の取り組みを促したい」と締めくくりました。
この答弁は「法的強制力がない以上、あくまで自主的な判断を尊重する」という立場を示したものです。しかしながら、JRAは農水省の監督下にある特殊法人であり、JRAから調教師免許・馬主登録を受けている者は公的な資格に基づいて活動しています。その立場にある者が国の安全勧告を無視しても制裁がないとすれば、勧告の実効性そのものが揺らぎます。
今後は「勧告後渡航は自己責任」のルール整備が急務だ
今回の問題が明らかにしたのは、公的な立場の関係者が国の安全勧告を無視した場合の制度的な歯止めがないという現実です。必要なのは、渡航中止勧告後に自らの判断で渡航した場合には、緊急時の救助要請や国費による支援の対象外となることを明確にする「自己責任ルール」の整備です。
ドバイワールドカップはUAEの王族が主催する世界最高の国際競走で、1着賞金は約10億4400万円(1ドル150円換算、2026年3月現在)にのぼります。巨額の賞金が懸かるビジネス判断として勧告を無視した場合でも、命の危険が生じれば国に救助を求めることになり、それは国民の税金を使うことを意味します。競馬界に限らず、企業や個人も含め、渡航中止勧告後に渡航した場合は自己責任であるという社会的合意とルール作りを、政府は正面から議論すべき時期です。今回の国会質疑は、その必要性を示す重要な一幕となりました。
---
まとめ
- 2026年3月5日に外務省がUAEをレベル3(渡航中止勧告)に引き上げた後、JRA所属の競走馬3頭と関係者が2026年3月6日に出国してドバイへ渡航
- JRAは馬券発売見送り・職員派遣中止の判断を下したが、調教師・馬主の渡航は「推奨」止まりで強制できず
- 鈴木憲和農水相は「法的強制力はない」とし、JRA・農水省ともにペナルティーを科さない考えを明言
- 石垣のり子氏が労働契約法上の安全配慮義務違反の可能性とアニマルウェルフェア違反の観点から追及
- 厩舎スタッフは雇用主に逆らいにくい立場、馬は拒否できないという弱者の視点も浮上
- 渡航中止勧告後に渡航した場合は救助・国費支援の対象外とする「自己責任ルール」の法整備が必要
この投稿の鈴木憲和の活動は、0点・活動偏差値42と評価されています。下記GOOD・BADボタンからあなたも評価してください。