2025-10-28 コメント投稿する ▼
農水省と日本企業7社がキーウ視察、ウクライナ農業復興支援を官民連携で加速
農業と食品産業の復興支援を目的とした今回の視察では、生成AIや衛星画像、無人技術を扱う企業が参加し、日本政府は官民連携で支援を加速する姿勢を示しました。 日本政府は2023年11月にウクライナ農業政策・食料省と日ウクライナ農業復興戦略合同タスクフォースを設置し、継続的な支援体制を構築しています。
「日本が本気でウクライナを支えようとしている姿勢が伝わってくる」
「地雷除去から農業復興まで、幅広い支援は素晴らしい」
「日本企業の技術がウクライナの再建に役立ってほしい」
「戦時下でも経済活動を続けるウクライナの人々を応援したい」
「官民一体の支援は日本らしいアプローチだと思う」
欧州の穀倉が直面する深刻な被害
ウクライナは侵攻前、欧州の穀倉と呼ばれる農業大国でした。農業はウクライナの国内総生産の10パーセント、輸出の約4分の1を占める基幹産業です。しかしロシアの侵略により、農業インフラの損壊、労働力不足、サプライチェーンの混乱が発生し、食料供給力が大きく低下しています。
今回キーウの経済・環境・農業省で開かれた会合には、農林水産省の笹路健審議官氏をはじめとする日本側代表団と、ウクライナのバシュリク次官氏ら現地政府関係者が出席しました。バシュリク次官氏は「ウクライナの潜在能力と日本の技術を組み合わせれば、世界市場で新たな成果を生み出せる」と期待を表明しました。
地雷除去が農業復興の鍵
ウクライナでは広大な農地に埋められた地雷が、農業復興の最大の障壁となっています。国土の2割超に地雷や不発弾の危険が残り、完全な除去には数十年かかる見通しです。日本政府は国際協力機構を通じて大型地雷除去機を供与するなど、地雷除去を通じた農業復興に協力しています。
地雷除去は住民の安全確保に不可欠なだけでなく、農業生産能力や物流の回復など、様々な分野への波及効果が期待されます。日本は東北大学が開発した最先端の地雷探知機ALISを50台供与するなど、日本の技術力を生かした支援を展開しています。
日本企業が持つ先端技術を投入
今回の視察に参加した7社には、生成AIや衛星画像、無人技術を扱う企業のほか、食品加工や水質管理を専門とする企業が含まれています。日本企業とウクライナ農業政策・食料省との間では、すでに複数の協力覚書が締結されており、農業機械メーカーや衛星データ解析企業などが具体的な支援活動を進めています。
農林水産省の笹路健審議官氏は会合で「食料・農業分野での協力を通じ、平和と復興に貢献したい」と述べました。日本政府は2023年11月にウクライナ農業政策・食料省と日ウクライナ農業復興戦略合同タスクフォースを設置し、継続的な支援体制を構築しています。
官民連携で復興を後押し
日本政府は憲法上の制約から殺傷能力を持つ武器は提供できませんが、官民一体となった復旧・復興支援に力を注いでいます。農林水産省は2024年度補正予算でウクライナ農業回復緊急支援事業を立ち上げ、日本企業のウクライナ支援活動への参画や事業展開を後押ししています。
ウクライナの復興費用は増加の一途をたどっており、2024年以降の10年間で4860億ドル程度が必要とされています。日本には欧州や韓国などに比べて事業展開が遅れたとの危機感があり、今回のキーウ視察は日本の本格的な支援加速を象徴する動きといえます。