2025-08-05 コメント投稿する ▼
2026年から義務化 トラック運転手負担軽減計画 全国3000社超が対象
トラック運転手の負担軽減へ計画義務化
政府は5日、トラック運転手の長時間労働是正を目的に、全国の大手物流関係企業に対し負担軽減計画の作成を2026年4月から義務化することを決定した。対象は年間の荷物取扱量や保有車両数など一定規模以上の荷主、運送業者、倉庫業者で、全国で3000社を超える見込みだ。
この制度は昨年成立した改正物流効率化法に基づくもので、政令によって開始時期や対象企業の基準が定められた。計画には、配送拠点での「荷待ち」時間や荷物の積み下ろし(荷役)時間を減らすための具体的な対策、実施期間が盛り込まれる。予約システムの導入や作業工程の見直しなどが想定され、国への定期報告も義務付けられる。
対象企業と罰則の詳細
対象基準は、荷主が年間総重量9万トン以上の貨物を扱う場合、倉庫業者は保管量が70万トン以上、運送業者は保有トラック150台以上とされた。業者が届け出を行い、所管省庁が指定する形となる。
計画の未提出や内容不備があれば、国は是正勧告や命令を行い、命令に従わなければ最大100万円の罰金を科す。荷主だけでも約3千社が対象になるとされ、物流の現場全体に大きな影響を与える見通しだ。
深刻化するドライバー不足
背景には、物流業界全体で深刻化するトラックドライバー不足がある。2024年4月からドライバーの時間外労働時間が年間960時間までに制限される「働き方改革関連法」が適用され、従来の長時間運行が困難になっている。これに伴い「2024年問題」と呼ばれる輸送能力の不足が懸念され、効率化と労働環境改善の両立が急務となっている。
現場のドライバーからは、過酷な勤務実態に対する不満の声が以前から上がっていた。
「荷待ちだけで数時間つぶれる日が多い」
「走るより待ってる時間の方が長いこともある」
「運転以外の作業が負担になっている」
「改善は歓迎だが、現場の声を反映してほしい」
「罰則よりも協力しやすい環境作りが先決」
制度の実効性と課題
制度化によって一定の改善は期待できるが、効果を発揮するには計画の実効性と現場の協力が欠かせない。計画が形骸化すれば負担軽減にはつながらず、罰則だけが残る懸念もある。さらに、対象外の中小業者にも改善を促す仕組みがなければ、業界全体の底上げは難しい。
政府は今後、対象企業への指導や支援と併せ、予約システムの普及や物流拠点の分散化など、構造的な改善策を進める方針だ。ドライバー不足解消と輸送能力確保は、経済活動を支える基盤として欠かせず、2026年の義務化はその試金石となる。