2024-01-06 コメント投稿する ▼
「琉球独立」と「基地反対」を結び訴え 儀保唯氏、沖縄でチュチェ思想セミナー講演
沖縄でチュチェ思想全国セミナー開催
1月6日、沖縄県内で「自主と平和のためのチュチェ思想全国セミナー」が開かれた。主催は金日成・金正日主義研究全国連絡会。北海道から沖縄まで全国各地からチュチェ思想の研究者や在日外国人らが集い、金正恩総書記の誕生を祝賀するとともに、世界に「自主と平和」の理念を広げようという意志を新たにした。
会場では、元日に発生した能登半島地震を受け、金正恩総書記が日本に見舞い電報を送ったことも紹介された。さらに、海外のチュチェ思想団体からの連帯メッセージも披露され、反帝国主義と民衆中心の政治を掲げるチュチェ思想の国際的な広がりを印象づけた。
儀保唯氏「琉球独立と基地反対を結びつける」
この日のセミナーで特に注目を集めたのは、沖縄出身の弁護士、儀保唯(ぎぼ・ただし)氏の講演だった。
儀保氏は、自身の体験を交えながらこう語った。
「名護の出身として、おじいやおばあから戦争の悲惨さを聞かされて育ちました。若い頃には高江で、ヘリパッド建設に反対する人々と、それを力で抑え込もうとする権力の姿を目にしてきました。沖縄の基地が朝鮮半島を狙ったものであると知ったのは、朝鮮を訪れてからです。」
また儀保氏は、沖縄の現状を植民地主義の延長線上にあると位置づけた。
「日本が朝鮮半島を植民地にした過去を反省するなら、琉球王国が日本に併合された事実も同じように問い直すべきだ」と指摘。
さらに「辺野古新基地建設は、沖縄を対等な存在として見ていない日本政府の姿勢を象徴している。私は植民地主義に反対する運動として琉球独立運動に取り組みたい。そして、それと結びつく形で基地反対運動を強めていきたい」と語った。
儀保唯氏の過去発言にみる一貫した姿勢
儀保氏はこれまでも一貫して「沖縄の自己決定権」を主張してきた。
以前から「沖縄の未来は沖縄自身が決めるべき」と訴え、中央政府による介入に強い違和感を表明している。また、琉球独自の文化、言語、歴史を重んじる立場から、沖縄を単なる「日本の一地方」として扱う態度に疑問を呈してきた。
彼にとって琉球独立は単なる理想論ではなく、自己尊厳と自己防衛をかけた現実的な課題と位置づけられている。
琉球独立運動の現状と課題
琉球独立を求める声は確かに存在感を増してきたものの、現実には運動はまだ限定的だ。
県民世論には、「独立すれば経済が不安定になる」「国際的孤立を招くのではないか」という慎重論も根強く、基地問題だけでは独立運動への支持を広げきれていない。
一方で、国際社会では、沖縄の「自己決定権」支持の声も少しずつ広がっている。国連の先住民族権利宣言を根拠に、琉球民族の権利を訴える動きも見られる。
今後は、経済的自立のビジョンや国際社会との連携戦略がカギを握ることになりそうだ。
チュチェ思想とは何か
セミナー全体を貫いた「チュチェ思想」とは、北朝鮮の建国者・金日成が提唱した政治思想だ。簡単にいえば、「人間(人民)が自分の運命を自ら切り開く主体である」とする考え方である。
この思想は、
- 他国に依存せず、自力で発展する「自主独立」
- 外国の干渉を排除し、自国の道を行く「自力更生」
を柱としている。
表向きには「人民が主人公」を謳っているが、実態としては北朝鮮指導部(特に金日成・金正日・金正恩)への絶対的忠誠を正当化する役割も果たしてきた。つまりチュチェ思想は、国家の独立と民衆中心主義を唱えながら、実際には独裁体制を支えるイデオロギーとして機能している。
日本でも一時期、左派運動や市民団体の一部で注目されたが、現在では支持はかなり限定的となっている。
- 沖縄でチュチェ思想全国セミナー開催。金正恩総書記の誕生祝賀と連帯を確認。
- 儀保唯氏が「琉球独立運動と基地反対運動の連動」を訴える。
- 琉球独立運動は存在感を増す一方、経済・国際問題への懸念も根強い。
- チュチェ思想は「自主と自力更生」を掲げるが、実態は北朝鮮体制維持の理論装置でもある。
沖縄の基地問題、独立運動、そして国際的な自主権の問い直し――
この三つは、これからの日本社会にとって決して無関係ではない大きなテーマになりそうだ。