2025-05-07 コメント投稿する ▼
日本学術会議の法人化議論、田中健議員が独立性と政府関与の問題点を追及
日本学術会議の法人化議論 田中健議員が独立性と政府関与を追及
日本学術会議の法人化を巡る議論が国会で熱を帯びている。5月9日、衆議院内閣委員会において、田中健議員(国民民主党)は日本学術会議の独立性と政府の関与について鋭く質問し、学術界と政府の関係性が焦点となった。田中氏は、法人化により学術会議が政府の影響を受けやすくなるのではないかという懸念を表明し、政府関係者からの説明を求めた。
政府関与と独立性のバランスに懸念
田中健議員は、法案に盛り込まれている監事や評価委員会の設置に注目。特に監事は内閣総理大臣の任命となり、評価委員会も政府が関与する形での運営が想定されている。田中氏は「学術会議は独立して科学的な助言を行うべき組織であり、政府からの圧力を避けることが重要だ」と指摘し、独立性を確保するための具体的な対策が必要だと主張した。
これに対し、政府側は「評価委員会は学術会議の活動を客観的に評価するものであり、干渉の意図はない」と説明。しかし、田中氏は「監事の任命権が総理大臣にある限り、学術会議が政府の影響を受ける危険は排除できない」と重ねて懸念を示した。
立法府への提言機能を巡る議論
また、田中氏は法人化の利点として、立法府への科学的助言機能が強化される可能性についても議論を提起した。田中氏は「学術会議が立法府に対し、科学的根拠に基づいた政策提言を行うことは重要だ。だが、政府の関与が強まれば、提言内容が偏る恐れもある」と指摘。これに対し、政府側は「法人化により学術会議は柔軟に活動でき、国際連携も強化される」とメリットを強調した。
参考人として出席したノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章氏は、法人化によって学術会議が国際的なアカデミーとしての役割を強化できると述べた一方、「独立性が失われれば、学術会議の価値は失われる」と警鐘を鳴らした。
今後の展望
日本学術会議の法人化を巡る議論は、独立性の確保と政府関与のバランスをどう取るかが最大の焦点となっている。田中健議員は「政府は独立性を尊重する姿勢を示すべきだ」と訴え、政府側に具体的な措置を求めた。今後の国会審議では、独立性を確保しつつ、学術会議が立法府への科学的助言を効果的に行える体制の構築が鍵となる。