2025-05-07 コメント投稿する ▼
労働安全衛生法改正案:集団分析の義務化、高年齢者災害防止、個人事業者の安全対策を議論
労働安全衛生法改正案:浅野哲議員が安全対策強化を提言
国会で審議中の労働安全衛生法改正案について、国民民主党の浅野哲議員は、労働者の安全と健康を守るための施策について福岡厚生労働大臣に質疑を行った。浅野議員は特に、集団分析の義務化、高年齢者の労働災害防止、個人事業者の安全衛生経費の価格転嫁、歯科検診の健康診断項目への追加に重点を置いて問題提起を行った。
集団分析・職場環境改善の義務化を求める声
浅野議員は、ストレスチェック後に実施される集団分析について、現在は努力義務とされているものの、職場のメンタルヘルス改善には不可欠だと強調。特に50人以上の事業所では集団分析の実施率が64.5%に達していることから、義務化に向けた段階的な導入を提案した。
これに対し、福岡大臣は、職場環境改善と集団分析は一体的に行うべきだとの見解を示し、今後も労働者のメンタルヘルス改善に向けた取り組みを進める方針を表明した。また、50人未満の事業所に対しては、実施マニュアルの作成や支援体制の整備も視野に入れていると説明した。
高年齢者の労働災害防止策:実効性の確保が課題
高齢化社会の進展に伴い、高年齢労働者の安全確保は重要な課題となっている。浅野議員は、高年齢者の労働災害防止に向けた「エイジフレンドリーガイドライン」に基づき、事業者に計画策定を義務付けるべきだと訴えた。
「現場で働く高齢者を守るためには、単なる努力義務では不十分です。明確な基準と計画が必要です」と浅野議員は強調。一方、福岡大臣は、各事業所の業務内容や労働者の特性によって必要な対策は異なるため、一律の義務化は困難とし、引き続きガイドラインに基づいた柔軟な対応を推進する方針を示した。
個人事業者の安全衛生経費の価格転嫁:指針の明確化を求める
個人事業者にとって、安全衛生対策にかかる費用を発注者に適切に請求できるかは大きな課題である。浅野議員は、この点について「現行の指針はあいまいであり、事業者がどのような費用を請求できるか明確にすべき」と指摘した。
これに対し、福岡大臣は、建設業を例に取り、注文者が負担すべき経費を整理し、価格転嫁ガイドラインを周知徹底する方針を示した。
歯科検診の健康診断項目追加も視野に
さらに、浅野議員は、歯科検診を健康診断の項目に加えるべきだと提案。近年、歯周病が糖尿病や心疾患など全身の健康に悪影響を及ぼすことが指摘されており、口腔ケアの重要性が高まっている。
福岡大臣は、「歯科検診の必要性は認識しているが、健康診断の項目に加えるかは慎重に検討が必要」と述べ、今後も検討を続ける考えを示した。
結論と今後の展望
労働安全衛生法改正案をめぐる議論は、労働者の安全と健康を確保するための具体的な対策を強化する方向に向かっている。浅野議員の指摘は、特に高年齢者や個人事業者といった労働災害リスクの高い層に対する支援を強調しており、今後も法案審議の中で注目される。
今後は、集団分析の義務化に向けた具体的な指針や、高年齢者の労働災害防止計画策定の実効性確保、個人事業者の価格転嫁指針の整備などが焦点となる見通しだ。