2025-11-21 コメント投稿する ▼
富山県新田知事が24億円「攻めの中小企業支援」発表 国待ちから脱却し独自の賃上げ環境整備へ
新田知事は記者会見で「国の経済対策を『待つ』のではなく、『攻めの支援』で地域経済を活性化する」と強調し、地方自治体が主導する積極的な中小企業支援策として注目を集めている。 これは中小企業の生産性向上を通じて持続的な賃上げや価格転嫁、消費喚起につなげ、経済の好循環を生み出すことを狙った独自策だ。
地方発の「攻めの支援」で経済好循環を狙う
今回の補正予算案の柱は、既存の県融資制度内に創設する「生産性向上・賃上げ支援枠」で4億円を計上した。これは中小企業の生産性向上を通じて持続的な賃上げや価格転嫁、消費喚起につなげ、経済の好循環を生み出すことを狙った独自策だ。
新田知事は会見で「企業の生産性を上げ、持続的な賃上げや物価高に応じた価格転嫁や消費喚起につなげ、経済の好循環を生み出すねらいがある」と説明した。これまでの受け身的な支援から転換し、自治体が主導して地域経済の活性化を図る姿勢を鮮明にした。
専門家から経営力アップのアドバイスを受ける初回費用を無料化する事業には728万円を計上するなど、中小企業の経営改善を多角的にサポートする仕組みも整備する。
全国で深刻化する中小企業の賃上げ課題
この富山県の取り組み背景には、全国の中小企業が直面する深刻な賃上げ圧力がある。2025年の春闘では中小企業の賃上げ率は4.97%と高水準となったが、多くの企業が「防衛的賃上げ」を余儀なくされている実態が浮き彫りになっている。
中小企業庁の調査によると、2025年度に賃上げを実施する中小企業は84.6%に上るものの、その理由の77.5%が「従業員の離職防止」、71.8%が「物価高への対応」となっており、業績向上による積極的な賃上げではない現状が明らかになっている。
SNS上では中小企業経営者からこの問題への切実な声が上がっている。
「賃上げしたいが原資がない。価格転嫁も簡単にはいかない」
「人手不足で賃上げせざるを得ないが、利益は圧迫されている」
「政府は賃上げを求めるが、中小企業の実情を理解しているのか」
「富山県のような具体的支援があれば助かる」
「地方自治体が独自に動くのは評価できる」
価格転嫁の困難が賃上げの足かせに
中小企業の賃上げ原資確保において最大の課題となっているのが価格転嫁の困難さだ。公正取引委員会の最新調査では、価格転嫁を要請した中小企業は53.6%まで上昇したものの、取引段階が深くなるほど転嫁率が低下する傾向が続いている。
特に4次請け以上の階層では、全額転嫁できた企業は1割程度にとどまり、全く転嫁できなかった企業は36.0%に上る。このため、多くの中小企業が賃上げの必要性を感じながらも原資確保に苦慮している状況が続いている。
政府も価格交渉促進月間の設定や労務費転嫁交渉指針の策定など対策を講じているが、地方の中小企業への浸透には時間がかかるのが実情だ。
自治体独自策の重要性が高まる背景
富山県の「攻めの支援」が注目される背景には、国の支援策だけでは地域の実情に応じた迅速な対応が困難な現状がある。新田知事は実業家出身で、2020年の初当選以来「民間視点での改革」を掲げ、2024年10月に再選を果たした。
新田知事は「未来に向けた人づくり」と「新しい社会経済システムの構築」を柱とした政策を推進しており、今回の補正予算案もその一環として位置づけられる。特に1期目で「大学発スタートアップ増加率全国1位」「県外からの移住者数過去最多」を達成した実績を背景に、地方発の経済活性化策への期待が高まっている。
補正予算案には他にも、2025年12月策定予定の県の新たな総合計画のPRに250万円、2027年4月に雄峰高校内に開校予定の県立夜間中学環境整備事業に210万円を計上し、総合的な県政運営を進める構えだ。
地方独自策への期待と課題
今回の富山県の取り組みは、国の支援策を待つのではなく、地方自治体が主導して地域経済の課題解決に取り組む「攻めの姿勢」として、他の自治体からも注目を集めている。
ただし、根本的な価格転嫁環境の改善や大企業との取引適正化については、一自治体の取り組みだけでは限界があるのも事実だ。国の制度改革と地方の独自策の両輪で、中小企業を取り巻く経営環境の改善を図ることが重要になっている。
補正予算案は11月28日に開始される県議会定例議会に提案される予定で、可決されれば富山県の「攻めの中小企業支援」が本格的にスタートすることになる。