2025-04-09 コメント投稿する ▼
卒アル写真が“ポルノ”に悪用 ディープフェイク被害拡大 立民・市来氏が法整備を要求
「被害者の心身に深刻な影響」 林官房長官が見解
質疑に応じた林芳正官房長官は、「ディープフェイクポルノの拡散は、被害者の心身に長期にわたり有害な影響を及ぼす」と述べた。「被害に遭った方の立場に立って対応することが重要だ」とも語り、問題の深刻さに理解を示した。
市来氏は、実際に子どもの写真を使って作られた性的画像がネット上で販売される事例があることを紹介。「同級生が被害者にも加害者にもなり得る。子どものポルノを量産し、売って金儲けをたくらむような悪質なケースもある」と警鐘を鳴らした。
規制なき現状 法の網をかいくぐる加害者たち
ディープフェイクポルノの技術は急速に進化しており、米セキュリティ会社「セキュリティー・ヒーロー」の調査によれば、2023年に確認された関連動画は9万5千件以上。2019年比で5.5倍に急増したという。
日本では、これだけ被害が拡大しているにもかかわらず、明確にディープフェイクポルノを取り締まる法律はない。現行法では名誉毀損や侮辱罪などで対応せざるを得ず、実効性には限界がある。
法務省の担当者も「実在する児童の姿態であると認められる場合には、児童ポルノに該当し得る」と説明し、児童買春・児童ポルノ禁止法の枠内での対処を試みているものの、グレーゾーンは広がるばかりだ。
「被害があっても動けない」市来氏が指摘
市来氏は、被害者が警察に相談しても、「法的根拠がないため対応できない」と言われたり、海外サーバーにある画像の発信者情報が取得できず捜査が難航したりする例を紹介。現行制度では、泣き寝入りを強いられるケースが後を絶たないという。
「作成・所持・視聴に対する明確な規制がないため、被害が止められない。今すぐにでも立法措置を講じるべきだ」と訴えた。
海外では規制進む 日本は大きく後れ
海外では対応が進んでいる。米国では30以上の州が、本人の同意なしに作成・公開されたディープフェイクポルノを違法とする法律を導入。英国でも2023年に成立した「オンライン安全法」で規制対象となった。
一方の日本では、こうした動きに追いつけていない。専門家からは「被害実態に法整備が追いついておらず、現状では十分な抑止力にならない」との指摘が相次いでいる。
市民の声も「厳罰を」
NPO法人「チャイルド・ファンド・ジャパン」が2025年に行った世論調査では、AIを使って作られた子どもの性的画像について、「実在の人物でなくても禁止すべき」と答えた人が7割を超えた。規制強化を求める声は日に日に高まっている。
市来氏は「子どもたちを守るためにも、早急な法整備が必要だ」と繰り返し訴えた。ディープフェイク技術の発展は止められないが、それに対応できる法と仕組みの構築が今こそ問われている。