2025-04-21 コメント投稿する ▼
長妻昭氏「軍拡競争に日本は乗るな」―トランプ関税・物価高・就職氷河期支援に危機感
長妻代表代行、トランプ関税と国内経済への影響に警鐘
立憲民主党の長妻昭代表代行は4月21日、国会内で定例記者会見を開き、トランプ米大統領による関税引き上げ政策に対する懸念を表明した。長妻氏は、関税政策が中国の軍拡資金源を断つ狙いがあると指摘し、日本が米中の軍拡競争に巻き込まれることへの危機感を示した。「ゆめゆめ軍拡競争に日本が乗るような約束はしてはならない」と強調し、自由貿易を守るためにTPPなど多国間協議を活用すべきだと訴えた。
さらに、長妻氏はトランプ関税の影響で中小企業や製造業が資金繰りに苦しむ可能性を懸念し、金融モラトリアム法の復活やゼロゼロ融資の再開、雇用調整助成金の拡充などの対策を提案した。特に自動車産業における期間工の雇い止めを防ぐための支援が必要だと述べた。
また、日米財務相会談については、かつてのプラザ合意が日本のバブル経済の引き金となり、失われた30年につながったと指摘。「急激なドル安を容認して為替が一気に動いて景気対策を派手に打つというような愚を繰り返してはならない」と述べ、第2次プラザ合意にならないよう細心の注意を払うべきだと警鐘を鳴らした。
物価高対策、迅速な対応を求める
物価高対策について、長妻氏は消費税の一時的な減税や給付付き税額控除、社会保障の前倒し充実などの意見があるとし、「速やかに着地をさせる必要がある」と述べた。立憲民主党は、ガソリンや軽油の暫定税率廃止による価格引き下げや、食料品の消費税率を時限的に0%にする案を提案している。
一方、自民党内ではすべての国民に一律3万円~4万円程度の現金を給付する案が浮上しているが、財源の問題や選挙前のバラマキとの批判もあり、慎重な意見が多い。
政治とカネの問題、企業・団体献金の禁止を提案
自民党の政治とカネの問題に関し、長妻氏は世耕弘成・前参院幹事長の参考人招致が参院予算委員会で実施されることについて、同氏の過去の発言と安倍派の元会計責任者の証言に食い違いがあると指摘し、真実を話すよう要請した。
また、企業・団体による献金やパーティー券の購入が政治・政策決定、予算編成を歪めるおそれが大きいとし、これをやめさせることが最大のポイントだと述べた。30年前に政治団体への企業・団体献金は禁止されたにもかかわらず、3つの裏ルートによって骨抜きになっていると問題視し、「これを封じるには企業・団体による献金、パーティー券購入の禁止しかない」と述べ、野党5党派で提出している「企業・団体献金禁止法案」の成立に向けて努力する考えを示した。
就職氷河期世代支援、年金と雇用改革が本丸
就職氷河期世代への新たな支援策を政府が検討しているとの報道を受け、長妻氏は「年金改革法案を国会に出さない代わりに、アリバイ的にこういうことを考えているとすると非常におかしな話だ」と発言。現在38歳から54歳の就職氷河期世代が51歳から67歳になる2037年には基礎年金の受給額が1割、61歳から77歳になる2047年には2割、71歳から87歳になる2057年には3割減るとして、「就職氷河期世代の高齢化に備えるには、基礎年金の下支え策が最も大事であり、建設的に議論するのでぜひ法案を出してもらいたい。これを出さないとなると第2の消えた年金問題になる」と指摘した。
加えて、就職氷河期世代への支援策として家賃補助政策や、非正規雇用労働者の処遇改善に言及し、「本丸は年金と雇用の改革にあることを訴えていきたい」と述べた。
政府は、就職氷河期世代の支援に向けて関係閣僚会議を週内に設置する方針を示しており、長妻氏の指摘が今後の政策議論に影響を与える可能性がある。