2025-03-28 コメント: 2件 ▼
川口のクルド人難民申請、秋に増加し春にピーク 背景に農閑期の影響か
■ 申請数の変動が示す季節性
政府が松原仁・元拉致問題担当相の質問主意書に答える形で公表したデータによると、令和4~6年の3年間で、トルコ国籍者の難民申請が最も多かったのは3月。累計で653人に上っていた。一方で、4月以降は急減し、9月には185人まで落ち込んでいた。そして10月になると再び増加に転じている。
このデータから見えてくるのは、毎年秋に来日し申請を行い、一定数は翌年の夏までに「問題が解決した」として申請を取り下げ、トルコへ帰国するという動きだ。そして、秋になるとまた同じ人物が「新たな問題が発生した」として再び申請をするケースが少なくないという。
■ 「農閑期に合わせた就労目的の可能性」
入管関係者は、「この流れを見る限り、農閑期に合わせた就労目的の可能性が高い」と指摘する。実際、出入国在留管理庁が公表している資料によると、難民申請を繰り返している外国人のうち約46%がトルコ国籍者で、その多くがクルド人と推定されている。
また、川口市に集住するクルド人の数はここ数年で急増。以前は約2,000人とされていたが、現在では2,500人ほどに増えたとみられる。これは、トルコ国籍者の難民申請者が2023年に過去最多の約2,400人に達し、難民申請中に「特定活動」の在留資格を取得した人が増えていることが要因と考えられる。
■ 移民の連鎖と地域社会の変化
一度日本に定住した人が増えると、同じ村や親族、知人が後を追って来日する「移民の連鎖」が起きやすくなる。クルド人社会では血縁関係が非常に強いため、この傾向が顕著だ。
しかし、川口市内では、クルド人と地元住民との間で摩擦が生じるケースも増えており、なかには「川口は住みづらい」と感じて、隣接する市や東京都内に転居するクルド人もいるという。
■ 難民申請制度の課題
日本では難民申請者に対し、申請から半年が経過すると「特定活動(難民認定手続中)」の資格が与えられ、原則としてフルタイムでの就労が可能となる。この仕組みがあるため、「出稼ぎ目的」での難民申請が後を絶たず、一部では「難民ビザ」とも揶揄されている。
実際、この資格を持つトルコ国籍者は2023年末時点で1,147人だったが、2024年6月末には1,820人と、わずか半年で約1.6倍に増加している。
難民制度は、本来、迫害や紛争から逃れる人々を保護するためにある。しかし、その制度が別の目的で使われている可能性がある以上、日本の難民政策のあり方についても議論が求められそうだ。