2025-09-22 コメント: 1件 ▼
新垣淑豊氏「宿泊税は観光に還元を」沖縄の観光政策と県民生活への疑問を提起
新垣氏は、見込まれる78億円の税収について「観光危機管理や環境保全に充てると説明されているが、具体的な活用方針が曖昧なままでは県民の理解は得られない」と主張しました。 観光客数が増加したにもかかわらず、県民所得は伸び悩み、観光収益が県民に広く還元されていない実態が浮き彫りになっています。
新垣淑豊氏が宿泊税への見解を発表
沖縄県議会は2025年9月、宿泊税条例を全会一致で可決しました。国の同意を経て2026年度に施行される予定です。宿泊料の2%を課す定率制で、上限は1泊2,000円。修学旅行など教育目的は免除され、年間約78億円の税収が見込まれます。新垣淑豊氏は、自身の公式サイトでこの制度についての考えを発表しました。
新垣氏は制度設計の合理性を一定評価する一方で、「観光客の負担を正しく観光に還元する姿勢が不可欠だ」と指摘。特に離島住民の生活宿泊や事業者の負担を軽視すべきではないとし、今後の運用に柔軟性と透明性を求めました。
財源の使途と透明性への懸念
新垣氏は、見込まれる78億円の税収について「観光危機管理や環境保全に充てると説明されているが、具体的な活用方針が曖昧なままでは県民の理解は得られない」と主張しました。県と市町村の配分比率を3対2とする点についても「観光関連施策に十分な資金が行き渡る保証を明確化すべきだ」と述べています。
また、過去に京都市が宿泊税を導入した際、観光公害対策として税収が役立った例を示しながら、「沖縄でも同じように観光による負担を軽減する目的に限定して使わなければならない」と強調しました。
みんなの反応
「定率制は合理的だが、県民への還元が見えなければ不信感は消えない」
「離島の生活宿泊まで課税するのは不公平」
「観光収益を地域に還元できるのかが最大の焦点」
「観光事業者の負担増が心配。税収の使い道をはっきり示すべき」
「透明性を欠けば結局観光客も離れてしまう」
観光政策への根本的な疑問
新垣氏は宿泊税の導入にとどまらず、沖縄の観光政策全体に対しても疑問を投げかけました。県が観光を推進してきた結果、慢性的な渋滞や不法投棄、生活道路の混雑など、いわゆるオーバーツーリズムや観光公害が深刻化しています。県民からは「観光客に押し流されて生活が不便になっている」という声が相次いでいます。
さらに統計を見てみると、観光推進が県民生活に還元されていない点が分かります。沖縄県の「1人当たり県民所得(名目、年度ベース)」を見ると、2013年は209.0万円、2015年に217.9万円、2017年には230.2万円と一時的に上昇しましたが、2019年233.2万円をピークに減少傾向となり、2022年は224.9万円に留まっています。観光客数が増加したにもかかわらず、県民所得は伸び悩み、観光収益が県民に広く還元されていない実態が浮き彫りになっています。
観光以外の産業への影響
沖縄県民からは「観光を優先した結果、他産業への経済損失が生じているのではないか」と言う声も増えています。交通渋滞は物流コストを押し上げ、農業や製造業の競争力を削ぐ要因となります。環境破壊やゴミ処理の負担増も自治体財政を圧迫し、住民サービスにしわ寄せが出る危険性があります。
観光産業の振興自体は否定しないものの、県税収入や県民所得に明確な成果が出ていない状況で「観光立県」という掛け声だけを繰り返すことに意味があるのかという疑問が浮かび上がってきています。
新垣氏は「宿泊税を導入するのであれば、観光の弊害に真剣に向き合い、県民が実感できる利益に直結させるべきだ」と訴えました。
今後に向けた提言
新垣氏は、宿泊税を含めた観光政策の行方を注視しながら「観光と県民生活をどう両立させるか」が最大の課題だと結論づけました。税収の活用については観光危機管理や環境保全だけでなく、交通インフラ整備や離島住民の支援といった分野に重点を置くことを提案しています。
また、観光業界や県民との対話を継続することの重要性を強調し、「導入して終わりではなく、成果を公開し、県民が納得できる説明責任を果たすべきだ」としました。