2025-03-27 コメント投稿する ▼
【衆院本会議】柴田勝之議員、「刑事デジタル法案における人権保護の重要性を強調」
法案の背景と柴田議員の立場
柴田議員は、弁護士としての経験を生かし、本法案が抱える問題点について鋭く指摘しました。特に「電磁的記録提供命令」に関する懸念を強調し、捜査機関がオンラインで大量の電子データを収集できる点に対する問題提起を行いました。この新たな命令制度では、サーバ管理者などが電子データを提供しなければならず、物理的な差し押さえではなく、オンラインでデータが提供されることになります。
問題点の指摘
1. 人権侵害の懸念
- 現行法においては、サーバの電子データをコピーし、差し押さえることが可能ですが、新たな命令によって、犯罪と無関係な個人情報も大量に収集される恐れがあると指摘されました。
- サーバ管理者が命令に従わなかった場合の刑事罰が新設されており、その結果として、犯罪とは無関係なデータも大量に提供される可能性があると懸念されています。
2. 通知と不服申し立ての欠如
- 本法案では、捜査機関から提供されたデータの事実を「電磁的記録者」に通知する規定がなく、不当な命令に対する不服申し立てが困難になる点を指摘しました。捜査機関からの通知がなければ、関係者は提供された事実を知ることができません。
3. 秘密保持命令の問題
- 秘密保持命令が新たに設けられることにより、捜査機関に提供されたデータの事実が関係者に伝わらなくなる可能性があります。この点について、秘密保持命令が発令される理由とその範囲についても疑問が呈されました。
4. データの消去規定の欠如
- データ提供後、万が一命令が不当だと判断された場合、データが消去されるべきだとの意見も出されましたが、本法案にはその規定が欠如しています。これにより、不要になった電子データが無期限に保管される恐れがあります。
5. 自己負罪拒否特権の説明
- パスワード提供を命じられる場合に、自己負罪拒否特権について警察官が説明する必要性が指摘されました。被疑者が誤解してパスワードを提供してしまうリスクがあるため、この点も法案に盛り込むべきだと述べています。
6. 独立した監督機関の設置提案
- ヨーロッパ諸国では刑事司法における個人情報保護のための独立監督機関が設置されています。日本でも、通信傍受法に基づく監督を強化するため、裁判所や個人情報保護委員会による実効的な監視体制を提案しました。
7. オンライン接見の導入
- 身体拘束を受けている被告人が弁護人とビデオリンク方式で接見できるようにする規定が本法案には欠けており、その導入を提案しました。オンライン接見は被告人の権利を保障するために重要であると述べています。
デジタル化の利便性と人権保護のバランス
柴田議員は、刑事手続きのデジタル化が捜査機関や裁判所にとっては利便性を高める一方で、被告人等の人権が置き去りにされている現状を指摘しました。デジタル化により、大量の電子データが収集され、手続きがスムーズに進行する一方、被告人のアクセス権やプライバシーが損なわれる可能性があることが懸念されています。法案には、これらのリスクを最小限に抑えるための十分な措置を講じる必要があるとの主張が強調されました。