2025-04-22 コメント投稿する ▼
在留外国人の国保未納率44%超 制度悪用も深刻化、自民党が対応強化へ本格議論
在留外国人の国保未納、全国で深刻化
厚生労働省の調査によれば、在留外国人の国保未納率は全国平均で約44%に達している。特に東京都板橋区では、ウズベキスタン人の未納率が85%、スリランカ人が80%、ネパール人が71%と、特定国籍で高い未納率が確認されている。中国人も34%が未納であり、同区では中国人の未納総額が1億1,700万円に上る。
これらの未納分は、自治体の一般会計から法定外繰入金として補填されており、結果的に日本人住民の税金で賄われている。新宿区では、外国人世帯の納付率が44%にとどまり、13億円もの未納が発生している。
制度悪用の実態とその影響
在留外国人の中には、生活の拠点が日本にない親族を健康保険に加入させたり、医療を目的とした来日であるにも関わらず在留目的を偽って国保に加入するなど、制度を悪用するケースが報告されている。これにより、医療機関では外国人患者の医療費未払いが深刻化し、貸し倒れとして赤字に直結している。
また、国保未納と医療費未払いを合わせた年間損失額は、推計で4,450億円から6,800億円に上るとされている。特定の業種や入国ブローカーを介した組織的な制度悪用の可能性も指摘されており、制度の根幹を揺るがす事態となっている。
政府・自治体の対応と課題
自民党の医療WGは、平成30年に政府への提言を策定し、法改正等が行われたが、未納問題は解消されていない。このため、WGはさらなる対応策を検討し、政府に申し入れる方針を示している。4月22日の会議では、在留外国人の保険料納付状況等について関係省庁から説明を受けた。
一部の自治体では、滞納対策課を設置して督促・徴収を進めているが、制度上、他の自治体に転居された場合の追跡が困難である。東京出入国在留管理局では、地方入管と自治体が情報を共有し、納付を促進する制度を開始しており、横浜市、豊島区で実施され、板橋区でも2025年度から導入される予定だ。
今後の対応策と展望
未納問題の解決には、在留資格と国保納付を厳格に紐づけることが求められている。具体的には、入国時点での外国人保険加入の義務付けや、国保加入を入国後1年以上在留する場合とするなどの方策が提案されている。また、医療機関では、診療費の前払い制度や有効なクレジットカードの提示を求めるなど、未払い防止策の導入が検討されている。自治体間の情報共有システムの構築も、転居による追跡困難性を解決する上で重要な取り組みとなる。
在留外国人の国保未納問題は、自治体の財政を圧迫し、日本人住民の負担を増大させている。政府と自治体が連携し、制度の適正化と未納防止策を強化することが急務である。
- 在留外国人の国保未納率は全国平均で約44%。
- 特定国籍で高い未納率が確認され、自治体財政に大きな負担。
- 制度悪用や医療費未払いが深刻化し、年間損失額は最大6,800億円。
- 政府と自治体は情報共有や制度改正を進め、未納防止策を強化。
- 在留資格と国保納付の紐づけ、医療機関での前払い制度導入などが検討されている。