2025-11-12 コメント投稿する ▼
北谷町長選で渡久地政志氏2期目挑戦、基地跡地活用と戦後100年ビジョンで継続発展目指す
北谷町長選で現職渡久地政志氏が2期目へ「戦後100年を見据えた平和継承と基地跡地活用明確化」。 渡久地氏は4年前の初当選時に掲げた公約の達成を振り返りつつ、新たな課題として基地跡地の具体的な活用計画提示による返還促進や、町の急激な発展に伴う住宅確保問題への対応を重点政策として掲げている。
沖縄県北谷町長選が2025年11月11日に告示され、現職で2期目を目指す渡久地政志氏(46)が立憲民主党、共産党、社会民主党、社大党の推薦を受けて立候補した。投開票は16日。渡久地氏は4年前の初当選時に掲げた公約の達成を振り返りつつ、新たな課題として基地跡地の具体的な活用計画提示による返還促進や、町の急激な発展に伴う住宅確保問題への対応を重点政策として掲げている。
41歳で最年少首長に就任
渡久地政志氏は1979年5月19日生まれの46歳。北谷町宮城出身で沖縄大学を卒業後、2005年に北谷町議会議員に初当選し、5期20年間町議を務めた。2021年の町長選では42歳で初当選を果たし、当時県内最年少の首長として注目を集めた。町政史上最も若い町長として就任し、現在1期目の任期満了を迎えている。
渡久地氏は立候補理由について「4年前の初当選から掲げた公約はおおむね達成できたと考えているが、宿泊税の導入をはじめ、観光振興、子ども支援、高齢者福祉、経済、教育など、やるべき課題が山積している。次の4年間でそれらを着実に進めていきたい」と語る。
町政運営では「戦後100年を見据え平和で誇りの持てるちゃたん」をスローガンに掲げ、平和継承を政治の原点として位置づけてきた。北谷町は沖縄戦の激戦地となった歴史を持ち、戦後は米軍基地として長期間利用されてきた経緯がある。
「渡久地町長の4年間で町は確実に発展した。継続性を重視したい」
「若い町長だからこそ、新しい時代に対応した政策を期待している」
「基地問題はなかなか進まないけど、現実的な対応をしてくれている」
「宿泊税導入で観光振興がさらに進むといいですね」
「住宅が高くて若い人が住めないのは深刻な問題だと思う」
成功した基地跡地開発の経験
北谷町の発展を語る上で欠かせないのが、基地返還跡地の活用成功例だ。1981年に返還されたハンビー飛行場とメイモスカラー射撃場の跡地は、現在の美浜タウンリゾート・アメリカンビレッジとして生まれ変わった。この開発は全国の基地跡地利用のモデルケースとして高く評価されている。
アメリカンビレッジは1997年から本格的な工事が始まり、1998年から施設が順次開業し、2004年にほぼ完成した。東京ドーム約5個分の広大な敷地には、ショッピング、グルメ、エンターテインメント、宿泊施設が集積し、アメリカ西海岸の雰囲気を再現した都市型リゾートとして確立された。2003年には年間来客数が延べ830万人に達し、沖縄を代表する観光拠点となっている。
この成功体験を踏まえ、渡久地氏は基地問題への対応について「キャンプ桑江やコリドー地区の返還は現状では進展が見えない。学校や住宅など具体的な活用計画を示して返還を求めていく」と明言している。単に返還を要求するだけでなく、跡地利用の明確なビジョンを提示することで返還交渉を有利に進める戦略を示している。
急成長がもたらす新たな課題
北谷町の発展は住みたい町としての人気上昇をもたらしたが、同時に新たな課題も生み出している。渡久地氏は町政の課題として「町は発展し税収も増えたが、土地や資材の高騰で住宅確保が難しくなっている。住みたい町として人気が高まるほど家賃が上がるという課題もある」と指摘する。
この問題に対し「現在、県と連携して家賃の低廉化を進めており、今後は公共施設の集約化などを通じて、土地の有効活用を図りたい」との対策を示している。町の魅力向上と住宅確保のバランスを取る難しい課題に、現実的なアプローチで臨む姿勢を見せている。
主な公約では、平和継承の強化と並んで実現的な施策を並べている。医療費や給食費の無償化継続に加え、3〜5歳児の食費無償化を段階的に進めるとしている。また、宿泊税導入により「町の魅力を創出し、住民福祉サービスの向上などに循環させる」仕組み作りを提案している。
ボールパーク構想で新たな魅力創出
注目される新しい取り組みが「ボールパーク構想」だ。渡久地氏は「町営野球場と周辺を整備する『ボールパーク構想』の意見も集約する」と述べ、スポーツを軸とした新たな地域振興策を模索している。この構想は単なるスポーツ施設整備にとどまらず、観光資源としての活用や地域コミュニティの核となる施設づくりを目指していると考えられる。
北谷町は既にアメリカンビレッジやサンセットビーチなど多様な観光資源を有しているが、ボールパーク構想が実現すれば、スポーツツーリズムという新たな分野での集客も期待できる。沖縄の温暖な気候を活かした通年利用可能なスポーツ施設として、プロ野球のキャンプ誘致や各種大会開催の拠点となる可能性もある。
100年先を見据えた町づくり
有権者へのメッセージとして渡久地氏は「戦後80年、復帰53年を経て、これからの100年先を見据えた町のビジョンを描く時期だ。町民と共に未来を描き、持続可能で誇れる北谷町を築く」と述べている。
この発言は、戦後復興から観光立町への転換を成功させた北谷町が、次の発展段階に向けた長期戦略を必要としている現状を反映している。基地依存からの脱却を図りつつ、持続可能な発展モデルを構築することが、次期町政の最重要課題となる。
北谷町は人口約2万8000人の小規模自治体ながら、基地跡地利用の成功例として全国から注目される存在だ。アメリカンビレッジの成功を基盤として、さらなる基地返還と跡地活用を進めることで、沖縄の基地問題解決のモデルケースとなる可能性を秘めている。
渡久地氏の2期目への挑戦は、北谷町が築いてきた発展の継続性と、新たな課題への対応力が問われる選択となる。16日の投開票結果が、この先進的な町の将来を決定することになる。