2025-10-09 コメント投稿する ▼
宮城県知事選 古市尚高氏が告示日に出馬断念 供託金が間に合わず制度の壁が浮上
古市尚高氏「供託金が間に合わない」告示日に立候補断念 ATMの壁に屈する。 立候補を表明していた新人の古市尚高氏(72歳)は、当日午後になって出馬を断念した。 理由は「供託金を準備できなかった」ことだった。 古市氏は必要額の大半を確保していたにもかかわらず、最終的に届け出ができなかった。 古市氏は「県政を刷新したい」との思いで立候補を準備していた。
宮城県知事選
古市尚高氏「供託金が間に合わない」告示日に立候補断念 ATMの壁に屈する
告示日に届かなかった挑戦
10月9日、宮城県知事選の告示日。立候補を表明していた新人の古市尚高氏(72歳)は、当日午後になって出馬を断念した。理由は「供託金を準備できなかった」ことだった。県選挙管理委員会によると、古市氏から午後4時前に「時間内に間に合わない」との連絡が入ったという。
古市氏は銀行の窓口が閉まった後、ATMの出金限度額を引き上げる手続きを試みたが、必要な300万円のうち約3分の2までしか入金できなかった。残りの金額を確保する手段がなく、法務局や県への届け出期限を考慮して立候補を断念した。制度の壁が、挑戦者の意志を遮った形だ。
「まさかお金の引き出しが間に合わなくて出馬できないなんて思わなかった」
「供託金ってこんなにハードルが高いのかと実感した」
「制度が古くて、挑戦しようとする人を遠ざけている気がする」
「もっと普通の人が立候補できる政治になってほしい」
金融制度と選挙制度のずれ
今回の出来事は、単なる準備不足というより、現行制度の設計そのものに問題を投げかけている。選挙供託金制度は、公職選挙法によって候補者の乱立を防ぐ目的で設けられているが、現金を用意する前提のまま運用されている。現代ではキャッシュレスが普及し、銀行も営業時間を短縮している。にもかかわらず、現金払い込みが条件という仕組みは時代に合わない。
古市氏は必要額の大半を確保していたにもかかわらず、最終的に届け出ができなかった。「立候補の意思」よりも「現金手続きのスピード」が優先される制度は、民主主義の理念から見ても再考が必要だ。特に高齢者や地方在住者にとって、金融機関の営業時間制限は大きな障壁になっている。
制度の壁が地方政治を狭める
宮城県知事選は、現職の村井嘉浩氏が20年間務めてきた長期政権だ。古市氏は「県政を刷新したい」との思いで立候補を準備していた。政策の中心には、子育て支援や教育改革、小型水力発電など、地域密着型の提案があった。だが今回の断念により、そうした新しい視点が選挙戦から消える形となった。
知事選のような大型選挙は、供託金をはじめとした「参加コスト」が高く、個人の挑戦には大きな負担がかかる。組織や政党に支えられた候補者が有利になる構造が固定化すれば、県政は同じ顔ぶれで回り続けることになる。資金力が政治参加の前提になる社会は、健全な民主主義とは言えない。
政治参加を阻む“手続きの壁”
今回の件は、金融制度と選挙制度が交差する“現代的な盲点”を浮かび上がらせた。特に、供託金の納付や届け出をオンライン化する仕組みが整っていないことが問題だ。電子申請が一般化する中、選挙手続きだけが旧来の紙と現金に依存している。
こうした遅れは、政治参加を志す市民にとっての「見えない関門」になっている。手続きの簡素化やオンライン納付制度の導入など、制度改革の必要性が改めて浮き彫りになった。
宮城県知事選は10月26日に投開票が行われる。今回の出来事は一候補者の不備ではなく、制度そのものの課題を映し出したものとして、長く議論を呼ぶことになりそうだ。