2025-12-04 コメント投稿する ▼
山口・宇部市で大規模ガス漏れ、圧力調整装置異常で1万3000世帯に影響
2025年12月4日午前6時ごろから山口県宇部市で「元栓を閉めてもガスが漏れている」との110番通報が相次ぎ、市内の広範囲で大規模なガス漏れ事故が発生しています。 今回の事故の原因はガス工場から各家庭に供給する間にあるガスの圧力を調整する「ガバナー」と呼ばれる装置に異常があったとみられています。
山口・宇部市で大規模ガス漏れ事故 圧力調整装置の異常で約1万3000世帯に影響
2025年12月4日午前6時ごろから山口県宇部市で「元栓を閉めてもガスが漏れている」との110番通報が相次ぎ、市内の広範囲で大規模なガス漏れ事故が発生しています。山口合同ガスによると、午前4時ごろに宇部支店管内でガスの圧力異常が発生し、午前8時半過ぎに大元のガス栓を閉めた結果、約1万3000世帯でガス供給が停止しました。この事故により複数の火災も発生し、都市ガスインフラの脆弱性が改めて浮き彫りになっています。
圧力調整装置「ガバナー」の異常が原因
今回の事故の原因はガス工場から各家庭に供給する間にあるガスの圧力を調整する「ガバナー」と呼ばれる装置に異常があったとみられています。ガバナーは都市ガスの送出圧力や流量を調整する役割を果たし、高圧で輸送された都市ガスを段階的に中圧、低圧へと減圧する重要なインフラ設備です。
「家のガス警報器が止まらない」
「コンロから火が吹き出した」
「元栓閉めても漏れ続ける」
「街中がガス臭い」
「パトカーが火使うなと呼びかけてる」
警察や消防によると、午前6時過ぎから「元栓を閉めたのにガスが漏れ続ける」「警報機が鳴りやまない」など市民からの通報が100件以上相次ぎました。宇部市南部の住民から「ガス警報器が作動している」や「シューという音がする」などの通報が寄せられ、通常では考えられない広範囲での同時多発的なガス漏れが確認されています。
相次ぐ火災で軽傷者も発生
ガス漏れが原因とみられる火災も宇部市新天町、琴芝町、松山町、中央町、常盤台など計6カ所で確認され、いずれも鎮火しました。消防によると少なくとも5件の火災が発生し、飲食店や住宅などで警察によると軽いやけどを負った人がいるということです。
ガバナー異常による圧力上昇が各家庭での異常燃焼や漏洩を引き起こし、それが火災につながったとみられています。地区ガバナーは雨風などの外部の影響から保護するため、一般的に専用コンテナ(整圧器室)内に収納されており、通信機器、電気制御盤も設置されていますが、今回はそのシステムに何らかの異常が生じた可能性があります。
都市ガスインフラの安全性に課題
宇部市内は2014年3月31日まで宇部市ガス水道局の事業エリアだったが、同年4月1日より都市ガス事業が民営化され、山口合同ガス宇部支店が開設されて事業を継承しています。東京ガスの供給エリア内には62カ所のガバナーステーションがあり、同じ仕様のガバナーを2台以上並列で設置し、定期点検やトラブル時でも都市ガスの供給を継続できるようにバックアップ用のガバナーを設置していますが、今回の事故ではバックアップシステムが機能しなかった可能性があります。
ガスガバナーは安全対策として地震時や異常圧力時に迅速に対応する設計となっており、安定供給と防災両面で重要な役割を果たしているとされていますが、今回のような大規模な圧力異常に対する対応の限界が露呈した形です。
現在も原因の詳細については調査中で、復旧の見通しも明らかになっていません。今回の事故は単一の設備異常が広範囲に影響を与える都市ガスシステムの脆弱性を示すものとして、全国の都市ガス事業者にとって重要な教訓となりそうです。