2025-12-01 コメント投稿する ▼
横田美香広島県知事が就任初日にカキ大量死対策会議 瀬戸内海で前例ない被害
しかし今秋以降、瀬戸内海沿岸で前例のない規模のカキ大量死が発生し、広島県内では6割から9割が死滅する地域も確認されています。 水産庁の調査では、被害は広島県だけでなく瀬戸内海沿岸の広域で発生していることが判明しています。 農林水産省出身で水産政策に精通している横田知事の経歴を考えると、この分野での専門性を活かした対応が期待されています。
広島県史上初の女性知事が対策会議 瀬戸内海カキ大量死で県庁一丸の危機対応
横田美香氏が広島県知事に就任した初日となる2025年12月1日、県内で深刻化している養殖カキの大量死問題に対応する対策会議を緊急開催しました。1971年8月1日生まれの54歳で、広島県史上初の女性知事となった横田氏は、就任早々この難題に立ち向かう姿勢を明確に示しました。
広島県は全国カキ養殖収穫量の約6割を占める日本最大の産地です。しかし今秋以降、瀬戸内海沿岸で前例のない規模のカキ大量死が発生し、広島県内では6割から9割が死滅する地域も確認されています。
海の異変が引き起こした前例なき被害
県立水産海洋技術センターの調査によると、県中部から東部の海域で9月の海水温が平年より2.4度高い状態が続いた上、降雨が少なく塩分濃度も高止まりしました。専門家は高水温と高塩分という二つの負荷が重なったことで、カキが生理的な不調を起こしたと分析しています。
通常、カキは産卵後に体力を大きく消耗しますが、例年なら水温低下とともに回復します。しかし今年はその回復のタイミングが訪れないまま、弱った個体が一気に死滅した可能性が高いとされています。
現場では深刻な状況が続いています。生産者の声をまとめると、被害の深刻さが浮き彫りになります。
「これまで何十年やってきたが、こんなのは初めて」
「今年はカキ料理が食べられないかもしれない」
「将来的にカキ養殖を続けられるのか不安」
「例年の半分以下しかカキが入ってこない」
「販売できるカキがない状態で死活問題」
被害は瀬戸内海全域に拡大
水産庁の調査では、被害は広島県だけでなく瀬戸内海沿岸の広域で発生していることが判明しています。愛媛県北部では5から9割、香川県でも同程度、徳島県小松島市では7割から全滅という深刻な被害が報告されています。
一方で瀬戸内海以外のエリアでは平年と異なるような大量死被害は確認されておらず、閉鎖海域である瀬戸内海に限って成育環境に異変が生じている可能性が指摘されています。
横田知事の迅速な対応姿勢
横田知事は対策会議で「カキ産業は県にとって大変重要だ。関連産業の持続性が将来にわたり確保されるよう、県庁一丸で取り組む」と強調しました。知事は12月4日に県内の生産現場を視察すると表明し、「まだ漁期も始まったばかりだ。不安やどういったところに支障が出ているのかを聞きたい」と語りました。
農林水産省出身で水産政策に精通している横田知事の経歴を考えると、この分野での専門性を活かした対応が期待されています。2004年7月には水産庁漁政部加工流通課長補佐として水産物の貿易ルート構築に携わった経験もあり、水産業界の事情に詳しい人物です。
国も支援策検討
鈴木憲和農林水産大臣は「我々としても技術的な支援も含めて、しっかりやらせていただきたいと思っています」と支援に言及し、必要に応じて政務三役を派遣する考えを示しました。鈴木大臣は宮城県気仙沼でカキ養殖の現場を視察した経験もあり、海洋環境の変化による被害の深刻さを理解しているとされます。
経済への影響も深刻で、広島県では最大300億円の損失の可能性も指摘されています。年末年始の需要期を前に、消費者への影響も避けられない状況です。
今回のカキ大量死は気候変動の影響が色濃く反映された問題とも言えます。横田知事のリーダーシップの下、県と国が連携した迅速で実効性のある対策が求められています。生産者の経営安定と産業の持続可能性確保に向けて、今後の対応が注目されます。