2025-12-01 コメント投稿する ▼
広島県知事 横田美香が始動-初女性知事とカキ大量死対策を最優先
横田知事は就任の記者会見で、少子高齢化による人口減少や若者の流出という長年の課題をあげ、「これらに本気で取り組む」と表明しました。 2025年11月以降、広島県内の養殖カキの多くが大量死するという深刻な事態が起きています。 一方で、彼女は人口減少・若者流出という構造問題に対して、新しい視点と行動を示しています。
横田美香広島県知事が初登庁
12月1日、横田美香 氏(54)が正式に広島県庁に初登庁し、同県の初の女性知事として新たな政権が本格始動しました。職員約500人を前にしたあいさつで、横田氏は「子育てしやすく、県内外の人が住みたい、働きたい、訪れたいと思える県にしていく」と力強く決意を語りました。前知事湯崎英彦氏の退任に伴い、約16年ぶりのトップ交代となります。
横田知事は就任の記者会見で、少子高齢化による人口減少や若者の流出という長年の課題をあげ、「これらに本気で取り組む」と表明しました。中でも早急な対応を求められているのが、今シーズン広島県で起きた大量のカキの大量死問題です。県はこの問題を喫緊の課題と受け止め、庁内に連絡会議を設置して対応を検討するとともに、漁業現場の声を直接聞く方針です。([FNNプライムオンライン][2])
カキ大量死―地域経済の危機に直面
2025年11月以降、広島県内の養殖カキの多くが大量死するという深刻な事態が起きています。報告では養殖場によっては出荷前のカキの80〜90%が死んでおり、養殖業者からは「ほとんど生き残っていない」との声も上がっています。広島県は、国内養殖カキ生産の約6割を占めており、県漁業にとっては壊滅的な打撃です。
背景については、海水温上昇、酸素不足、塩分濃度の異常など、気象や環境の変化が原因とされる可能性が指摘されています。ただ現時点で確定的な原因は見つかっておらず、県と国の農林水産省が協力し、詳しい調査を進めています。
こうした中で新知事として横田氏が「初動対応」を明言したことは、漁業者や県民にとって大きな意味を持ちます。彼女は県庁内に「カキへい死対策に向けた庁内連絡会議」を立ち上げ、現場の声を聴くとともに、必要な支援策や技術的対策の検討に着手する意向を示しました。
政策継承と変革―横田県政の方向性
横田氏は今回の知事選で、従来の湯崎県政の路線を「継承と発展」として掲げていました。湯崎氏が推し進めた、核兵器廃絶への行動や平和活動についても、「しっかり前に進めたい」と述べました。
一方で、彼女は人口減少・若者流出という構造問題に対して、新しい視点と行動を示しています。子育て支援や若い世代が戻ってきやすい地域づくり、働きやすい環境づくり、移住促進などを通じて、県の底力を再構築する方針です。これは、社会保障や教育をただ手厚くするのではなく、若者や子育て世代が安心して暮らせる環境整備を優先する、現実的な地域振興策として期待されます。
また、広島県の経済を支える産業である漁業のみならず、観光や移住促進も視野に入れており、「訪れたい」「住みたい」と思われる広島の再生を目指すようです。核兵器廃絶という国際的な平和への取り組みと、地域経済の再生という二つの相反するような課題に取り組む姿勢は、地域と世界の両方に目を向けるバランス感覚が感じられます。
課題山積─成果には時間も必要
ただし、新知事の舵取りには多くの困難が待ち受けています。まず、カキ大量死問題は原因が特定されておらず、対策には時間とコストがかかる可能性があります。漁業者の経営維持や補償、養殖技術の見直し、環境対策など複合的な対応が必要です。これに対して県と国がどこまで迅速に支援できるかが焦点です。
さらに、人口減少と若者流出という構造的な課題の解決は容易ではありません。子育て支援や移住促進策だけで若年層の定着を促すには、雇用環境や教育・住環境など、幅広い整備が必要です。これには中長期的な視野と粘り強い取り組みが欠かせません。
平和政策の継承も、国内外の情勢を踏まえれば単に声明を出すだけではなく、実効性のある外交や市民参加の仕組みづくりが問われます。
横田県政は「現実路線」と「理想」を両立させる挑戦です。今後、県民の厳しい目と期待の両方が、彼女の政策の一つひとつに注がれることになるでしょう。