2024-12-12
「闇バイト」対策の強化に関する緊急提言内容
自由民主党政務調査会は、令和6年12月10日、「闇バイト」対策の強化に関する緊急提言をまとめました。
近年、SNS で実行犯を募集する「闇バイト」を利用した犯罪が、特殊詐欺だけでなく強盗等にまで拡大している深刻な状況を背景に、この提言は、国民の安全・安心を守るために直ちに実施可能な対策を政府に求めるものです。 提言内容は大きく以下の5点にまとめられます。
1. 新たな捜査手法の確立
SNS上で募集される「闇バイト」による強盗等の犯罪に対し、捜査機関が「闇バイト」に応募する仮装身分捜査の実施を提言しています。
具体的には、捜査員が犯罪実行役に応募する際に「身分証」等を犯行グループに送付する必要があり、仮装の「身分証」等を作成することが刑罰法規に触れる可能性があるため、早急に現行法の範囲内で実施可能な仮装身分捜査のあり方を検討し、刑法上の正当行為と位置付けられる捜査活動は早期に実施すべきとしています。
また、捜査員がためらいなく捜査を行えるよう、ガイドライン等でそのあり方を明確化する必要性も指摘しています。
2. SNS等を利用した犯罪の捜査における隘路への対策
「闇バイト」の首謀者や指示役は、X(旧Twitter)等のSNSで実行犯を募集し、応募者とは Signal、Telegram 等の匿名性の高い通信アプリで連絡を取り合っている現状を踏まえ、以下の対策を提言しています。
●本人確認の厳格化: SNSや匿名性の高い通信アプリを提供する事業者に対し、本人確認の厳格化を強力に要請し、適切なルールを早急に確立するべき。
●違法有害情報の削除: 違法有害情報の削除の義務付けや、ルールを順守しない事業者の国内でのサービス提供禁止も含め、有効な対策を検討するべき。
●日本法人等窓口の設置: 外国事業者等が保有する捜査に必要な情報を迅速に得るため、日本国内で通信サービスを提供する外国事業者等には日本法人等窓口を設置させ、照会への回答など必要な情報が迅速にやり取りされる環境を整備するべき。
●その他: 諸外国の例を参考にしたインターネットサービスの悪用を実効的に排除するための法制度の調査・検討、秘匿性の高いアプリを悪用した通信履歴の解析をするための外国捜査機関等との連携、SNS事業者からの証拠収集を迅速・容易にするための方法の検討なども必要である。
3. いわゆる「闇バイト」等募集情報への対策
「闇バイト」等の募集は職業安定法上違法ですが、SNS上の投稿や職業紹介事業者の掲載する求人情報が「闇バイト」等募集情報に当たるか否かを判断することは難しいという現状があります。
この問題に対し、提言では以下の対策を提示しています。
●募集情報の明示義務化: SNS上における労働者を募集する投稿等に募集者の氏名・名称・住所・連絡先や業務内容等を表示することを義務付け、違反する投稿等が違法であることを明確化するべき。
●違法情報ガイドラインへの明記: 総務省の違法情報ガイドラインにおいて、「闇バイト」等の募集が違法情報であることを明記し、事業者における迅速な削除を促進するべき。
●削除要請の法的根拠の整備: 行政機関が事業者に「闇バイト」等募集情報の削除を求めることができるようにする規定を職業安定法に設けるなど、「闇バイト」等募集情報の一層の削除を促進する仕組みを検討するべき。
●事業者による審査の厳格化: 職業紹介事業者において、「闇バイト」等募集情報であるかの確認が不徹底である場合には、応募者が「闇バイト」であると知らずに応募する可能性があるため、「闇バイト」等募集情報が掲載されないようにするために事業者による掲載前の審査を厳格化するなど求人サイトに掲載するまでに行うべき最低限必要な取組を具体的に周知し、その実施を徹底するべき。
4. 防犯体制・広報啓発の強化
「闇バイト」に応募する強盗等の実行犯には若年層が多いという現状を踏まえ、以下の対策を提言しています。
●防犯カメラの増設: 新しい地方経済・生活環境創生交付金及び地方創生臨時交付金の使途として、防犯カメラ等の地域防犯力の強化を推奨事業として明示し、自治体に周知徹底することにより、確実に防犯カメラの整備が行われるように支援するべき。整備に当たっては、防犯カメラの増設が必要な場所を整理した上で、必要な場所に保存期間の十分な防犯カメラが増設されるようにするべき。
●若年層への広報啓発の強化: いわゆるアドトラックの活用や著名人によるメッセージ等、若年層に対して訴求力のある広報啓発を実施するべき。
5. サイバー犯罪対策に係る体制の充実・強化
「闇バイト」を利用した犯罪のみならず、サイバー空間を巡る脅威情勢が深刻化していることを受け、以下の対策を提言しています。
●警察のサイバー捜査能力の向上: 警察庁サイバー警察局や同関東管区警察局サイバー特別捜査部、都道府県警察サイバー部門の更なる体制強化、各種装備資機材の充実強化、幹部警察官や技術系職員を含む警察職員に対するサイバー教養の更なる充実強化が必要。
●違法有害情報の削除体制の強化: 実際に削除すべき違法有害情報の収集・対応を行っているインターネットホットラインセンターの体制の更なる増強に取り組むべき。
以上の提言は、「闇バイト」問題の深刻さを改めて認識し、速やかな対策を求めるものです。政府はこれらの提言を真摯に受け止め、国民の安全・安心を守るために必要な対策を早急に講じる必要があります。
2024-12-12 16:28:45(植村)
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