那覇市議会で波紋　トランスジェンダー児童数の質問は人権侵害ではなく実態把握の第一歩

那覇市議会での質問と人権論争

那覇市議会9月定例会で、和田圭子市議が市内のトランスジェンダー児童生徒数や増減について質問を通告したことが注目を集めている。この質問に対し、一部の専門家からは「人権を脅かす可能性がある」との懸念が示されている。しかし、市政の視点からすれば、教育行政が地域に存在する実態を把握し、正確な数値を基に施策を考えることは不可欠である。議会で現状を確認しようとする試みそのものを「人権侵害」と決めつけることが、果たして適切なのかという疑問が浮かぶ。

実態把握の必要性と政策形成

市政における教育政策は、児童生徒の状況を把握することから始まる。トランスジェンダーを含む多様な性の子どもたちが実際にどの程度存在しているのか、現場でどのような課題が生じているのかを知ることは、教育委員会が支援体制を整備するうえで不可欠だ。データがなければ具体的な政策は立案できず、結果として当事者への支援が遅れる可能性もある。つまり、調査や質問は権利を奪うものではなく、むしろ支援を充実させるための基盤になるはずである。

「人権」だけで議論を封じる危うさ

一部の反応では「数を問うこと自体が人権侵害につながる」との声がある。だが、人権は議論を止めるための言葉ではなく、実態を把握し、必要な施策を講じることで具体的に守られるべきものである。現実を直視せず、「人権だから触れてはならない」とする姿勢は、かえって当事者を孤立させ、適切な対応を遅らせる可能性がある。

SNS上でも賛否の声が交錯している。

「数を把握しないと支援もできないのでは」
「人権を理由に事実から目をそらしてはいけない」
「調査は当事者を守るための第一歩」
「隠すことが優しさではないと思う」
「現状を直視しなければ解決にならない」

こうした意見は「人権」を盾にした議論の停滞を避け、現実的な対応を求める世論の存在を示している。

人権尊重と透明性の両立を目指して

議会での質問は、実態を把握し、課題を議論するための正当な手続きである。数を問うこと自体が人権を侵すわけではなく、むしろ透明性の確保こそが公正な議論を支える。教育現場での配慮や相談体制の整備が不可欠であるのと同時に、事実に基づく議論なしには持続可能な支援策は生まれない。

今後の那覇市議会では、「人権を守る」という言葉だけで問題提起を封じるのではなく、実態調査と透明性を確保しつつ、どう支援体制を強化していくかを冷静に議論することが求められている。