2025-07-01 コメント投稿する ▼
NHK「チョッちゃん」放送休止 参院選出馬の世良公則氏に“公平配慮”?再放送も対象に
NHK「チョッちゃん」放送休止 参院選立候補の世良公則氏に配慮か
選挙と放送のはざまで「チョッちゃん」休止決定
NHKは7月1日、BSおよびBSプレミアム4Kで放送中の連続テレビ小説アンコール枠「チョッちゃん」について、1日以降の放送を20日まで休止すると発表した。理由は「20日に投開票予定の参議院選挙をめぐる状況などをふまえた総合的判断」としており、具体的な理由は明示されていないものの、ドラマに出演中の俳優・世良公則氏(69)が、同日から無所属で参院選・大阪選挙区に立候補を表明したタイミングと一致しており、その関連が強く示唆される。
放送が休止となるのは、平日朝に1話ずつ放送している月曜〜土曜の帯放送に加え、日曜にまとめて放送される再放送枠の2本を含めた、NHKBSおよびBSプレミアム4Kでのすべての「チョッちゃん」関連放送。再開は選挙翌日の7月21日を予定している。
なぜ今、「チョッちゃん」なのか
「チョッちゃん」は、1987年に放送された朝の連続テレビ小説で、ヒロインを演じた古村比呂の瑞々しい演技と、激動の昭和を支える女性たちの奮闘が描かれ、今もなお根強い人気を持つ。その中で重要な存在感を放つのが、ヒロインの恋人で後に夫となる役を演じた世良公則氏。ロックミュージシャンとしてのキャリアだけでなく、昭和・平成のドラマ界に名を刻んだベテラン俳優でもある。
その世良氏が、今回の参院選に無所属で立候補を表明したことで、政治的な公平性を求められる公共放送としてのNHKは「候補者の出演するドラマの放送を続けるべきか」という判断に迫られたと見られる。
「ドラマと現実の境界が曖昧になる選挙期間において、放送を通じた影響力をどう見るか」は、過去にも繰り返し議論されてきたテーマだ。NHKはかつて、政党代表が出演する音楽番組の再放送を差し控えるなどの事例があり、今回もそうした前例に沿った対応とみられる。
“公平性”はどこまで求められるのか
選挙とメディアの関係には、常に「公平性」が問われる。特に、法律上は明確な規定が存在しないものの、公職選挙法の精神に則って、放送各社は自主規制を行ってきた。たとえば、報道番組での候補者扱いの公平性はもちろん、バラエティやドラマへの出演にも細心の注意が払われてきた。
ただ今回のケースは、あくまで過去の作品の再放送であり、候補者本人が出演しているとはいえ、現在進行形での番組出演ではない。それでもNHKが自主的に休止を決定した背景には、「公共放送としての倫理的配慮」が大きく影を落とす。
一方で視聴者からは、「そこまで神経質になる必要はあるのか」という疑問の声も上がっている。
SNSの反応
「過去のドラマを止めるのって過剰反応じゃない?」
「NHKらしいといえばらしいけど、ちょっとやりすぎな気も」
「世良さんの演技を今の若い人にも見てほしいのに、もったいない」
「これって逆に本人への注目を集めてる気がする」
「昔の再放送まで選挙に絡めるなんて、なんか変な時代だな」
NHKの姿勢と今後の課題
今回の休止決定は、選挙とメディア、そして公共放送の責任をめぐるひとつの象徴的な判断といえる。NHKは「総合的に判断した」としているが、その裏には、候補者に有利・不利が生じる可能性を最小限にとどめようという意識があるのは間違いない。
しかし、こうした判断は一方で「過剰な自主規制」とも受け取られかねない。候補者本人が出演していた番組であるとはいえ、現在進行形で放送されているものではない再放送の扱いまで問題視されると、今後の番組編成に対する萎縮も招きかねない。
今後の選挙で同様のケースが起こる可能性もある。世良氏の出馬をきっかけに、NHKのみならず民放各社も、「どこまでが適切な対応なのか」を改めて問い直す時期に差し掛かっている。
選挙のたびにテレビ画面が慎重になっていく時代。情報に敏感な視聴者、そして候補者本人を含め、メディアと政治の「距離感」の見直しが求められている。