2025-09-19 コメント投稿する ▼
田久保眞紀市長と難波喬司市長 伊東市メガソーラー計画をめぐるSNS論争と行政判断の行方
伊東市の田久保眞紀市長が7月31日に辞意を撤回した際、その理由の一つとして挙げたのが、八幡野地区で計画されていた大規模メガソーラー事業の白紙撤回だった。 こうした説明に反応を示したのが、田久保市長がかつて代表を務めた「伊豆高原の森と八幡野の海を守る会」だった。 田久保市長自身もこの投稿を引用し、「伊豆高原メガソーラー計画は止まっている、は本当か」と書き込み、問題提起の姿勢を示した。
伊東市メガソーラー問題の発端
伊東市の田久保眞紀市長が7月31日に辞意を撤回した際、その理由の一つとして挙げたのが、八幡野地区で計画されていた大規模メガソーラー事業の白紙撤回だった。市民団体と連携して反対運動を展開してきた経緯もあり、田久保市長にとって同問題は政治的信念と直結するテーマである。かつて副知事としてこの計画に対応してきたのが、現静岡市長の難波喬司氏だった。
難波市長は8月5日の記者会見で「伊東のメガソーラーは河川占用の許可が得られず、橋梁の設置や排水処理ができない状態にある。従って事業を進められる状況にはない」と説明した。さらに「伊東市職員は立場上こうした説明を公にできないだろうから、当時対応した自分が伝える責任がある」と語った。行政手続きの観点から「許可要件が整えば不作為は認められない。宅造や林地開発の許可は条件を満たしたため出したにすぎない」とも述べ、行政の義務として対応したことを強調した。
SNS上の市民団体と田久保市長の発言
こうした説明に反応を示したのが、田久保市長がかつて代表を務めた「伊豆高原の森と八幡野の海を守る会」だった。9月17日の投稿で「裁判は激しく動いている」「元副知事(現静岡市長)の突然の発言の背景に闇の部分が見え隠れする」と疑念を呈した。田久保市長自身もこの投稿を引用し、「伊豆高原メガソーラー計画は止まっている、は本当か」と書き込み、問題提起の姿勢を示した。
市長自らが市民団体の発信を拡散したことで、行政トップがSNS上で問題の存在感をさらに高める結果となった。これにより、難波市長の発言と田久保市長の姿勢が真っ向からぶつかる形となった。
難波市長の反論と困惑
9月19日の定例会見で難波市長は「激しく動いているという話は一度も聞いたことがない。裁判があるとすればどれなのか根拠が不明だ」と明確に反論した。また「自分がメガソーラーを推進する“黒幕”のように扱われている投稿があり、困惑している」と表情を曇らせた。
「裁判が激しく動いていると書かれているが、根拠が見えない」
「市長がいなければメガソーラーは止まらない、というのは誤解」
「私は伊東市のメガソーラー問題に今は一切関わっていない」
「SNSで陰謀の一味とされ、いいねが集まっているのは残念だ」
「行政の義務として許可を出したにすぎない。事業推進の意図はない」
難波市長は繰り返し「行政の義務として必要な許可を出しただけ」と主張し、事業推進に関与していないと強調した。SNSで「陰謀の一味」とされることには強い不快感を示し、「参戦したという表現もあるが意図は全くない」と否定した。
政治的影響と今後の行方
田久保市長は辞意撤回の理由にメガソーラー白紙撤回を掲げており、同計画を政治的象徴とする姿勢を鮮明にしている。難波市長は事実説明に徹しているが、SNSで拡散される憶測や陰謀論に巻き込まれたことで、政治的に火種が広がった格好だ。
この問題は「地域の自然環境保全」と「再生可能エネルギー推進」のバランスをどう取るかという本質的な論点も含んでいる。伊東市は独自条例で大規模ソーラー事業に市長同意を必須とし、抑制姿勢を示してきた。一方で行政の許可義務を無視すれば不作為となり、訴訟で敗訴のリスクがある。自治体首長が政治的信念と法的義務の狭間で苦悩する構図は、全国の再エネ計画にも通じる課題といえる。
今後、裁判の有無や進展次第で議論はさらに加熱する可能性がある。田久保市長がSNSを通じて直接的に主張を展開する一方、難波市長が事実説明に徹する構図は続くだろう。地域住民にとっては「政治的思惑」と「行政手続き」の違いをどう理解するかが鍵となる。