2025-04-24 コメント投稿する ▼
磯崎議員、半導体再興に『国内需要と人材育成が鍵』と強調 ラピダス支援の限界を指摘
磯崎議員、半導体再興の鍵を語る
~国内需要・人材育成がラピダス成功のカギ~
2025年4月、国会で行われた経済産業委員会において、磯崎仁彦参議院議員(自民党)は、日本の半導体産業再興に向けた成長戦略について政府関係者を相手に精力的な質疑を行った。焦点となったのは、ラピダスを中心とした最先端半導体開発だけでなく、「地産地消」を軸とした国内需要の喚起、データセンター投資の拡大、そして本格的なデジタル人材の育成である。
ラピダス頼みでは限界 問われる“地産地消”の視点
磯崎氏はまず、日本の半導体産業がかつて経験した「産業の空洞化」に言及。「ラピダスのような企業が最先端技術を担っても、国内にそれを活かす需要がなければ再興はあり得ない」として、半導体の地産地消を提唱した。
「過去の失敗を繰り返さないためには、国内で使われる半導体を国内で作るという発想が必要だ」
これに対し武藤大臣は、「国内需要を十分に育てることで、次世代半導体としてのラピダスの事業が成立する」と述べ、自動車産業や産業機械、AI産業など、今後の成長分野と半導体の連携に意欲を示した。
“社長こそデジタル人材” 経営者の意識変革を促す
磯崎氏が特に強調したのは、「経営者のデジタル意識改革」である。多くの企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進まない現状を踏まえ、「とにかくAIを導入しようと思うなら、社長自身がデジタル人材にならなければならない」と語気を強めた。
この点について奥谷審議官(経産省)は、「デジタルガバナンスコードの見直しやDX銘柄の選定を通じて、経営層の意識改革を促している」と説明。加えて、半導体分野への投資促進のため、債務保証制度や多様なチップ需要に応じた環境整備にも取り組んでいるとした。
“文理融合”で人材育成を加速 デジタル人材230万人へ
半導体産業を支えるためには、人材の質と量の確保が不可欠である。磯崎氏は「理系・文系の垣根をなくして、多様な視点を持った人材を育てるべきだ」と提案。これに対して大森審議官(経産省)は、政府の掲げる「デジタル人材230万人育成目標」について説明。すでに2023年度末までに84万人を育成し、順調な進捗を見せていると述べた。
また、文部科学省の取り組みとして、大学における分離横断的教育や「DXハイスクール事業」が紹介され、理系人材比率を5割まで引き上げる計画も進行中である。
半導体産業の未来 問われるのは“現場に根ざす視点”
磯崎議員の質疑は、単なる技術支援や補助金に留まらず、半導体の「使い手」としての産業界全体の体質強化を求める視座に立っていた。製造基盤、投資、教育──これらを統合してこそ、日本はグローバルな競争で再び存在感を発揮できるという主張は、多くの関係者に重く響いた。
「技術の議論だけでは意味がない。需要と人材があってこそ、ラピダスは成功する」
- ラピダスは技術面の柱だが、国内需要の創出と「地産地消」が不可欠
- データセンター投資やDX推進には経営者の意識変革がカギ
- デジタル人材育成は順調に進むが、文理横断型の視点強化が求められる
- 半導体の供給から利用まで、一貫した国家戦略が必要
日本政府は、半導体サプライチェーンの強靭化と経済安全保障の両立に向けて、企業投資の後押しと教育制度の再設計に本腰を入れる必要がある。磯崎氏の主張するように、最先端技術だけに頼るのではなく、国内に根を張る需要と人材が揃ってこそ、日本の半導体産業は「第二の黄金期」を迎えるだろう。