2025-01-22 コメント投稿する ▼
「街の命を守れ」――愛みち子さんら、街路樹伐採に抗う市民を行政が排除へ
行政が市民排除に動く 街路樹伐採めぐる対立激化
東京都内で進められる街路樹伐採をめぐり、行政と市民の対立が深刻化している。特に千代田区・神田警察通りと明治神宮外苑での動きが注目されており、行政側は伐採工事を進めるため、市民活動を制限する強硬策に出た。一方、市民らは「非人道的だ」と批判を強めている。
千代田区、街路樹見守り市民に立ち入り禁止仮処分申請
千代田区は2024年9月、神田警察通りのイチョウ伐採に反対して見守り活動を続ける市民2人に対し、作業帯への立ち入りを禁止する仮処分を東京地裁に申請した。対象となったのは一般社団法人「街路樹を守る会」代表の愛みち子氏と、雑誌『建築ジャーナル』編集長の西川直子氏だ。
市民側はこれまでにも、伐採の中止や工事方法の見直しを求めて区側との話し合いを求めてきたが、区は応じず、伐採工事を夜間に強行。これまでに神田警察通りでは18本のイチョウが伐採されており、見守り活動は720日を超える長期戦となっている。
市民側は、作業帯立ち入り禁止の仮処分が、反対運動を封じる意図を持つ「市民排除策」だと批判している。過去には他の市民8人にも同様の仮処分が出され、現在抗告中だ。
工事現場での問題行為も指摘 安全性にも疑念
11月21日に都庁で開かれた記者会見で、愛氏らは工事現場での数々の問題点を告発した。4月に行われた伐採作業では、千代田区や施工業者から工事開始の事前連絡が一切なく、住民らの問いかけにも応じないまま作業が進行。高所作業車やクレーンが頭上すれすれを行き交う危険な作業が行われたことも明らかにされた。
さらに、工事業者が市民の姿を無断で撮影したり、個人名を現場で叫んだりするなど、市民のプライバシー権を侵害する行為も横行しているという。愛氏は「樹木はこの街で生きる隣人。伐採を強行することは街の環境を破壊する非人道的な行為だ」と訴えた。
明治神宮外苑でも進む再開発 名所イチョウ並木に影響
神宮外苑でも、三井不動産主導による再開発が着々と進められている。今年10月から開始された伐採・植え替え工事では、すでに神宮第二球場跡地から建国記念文庫の森周辺まで作業が拡大。新宿区はこの再開発に区道の一部廃止を絡めて参加しており、7,400㎡の区有地のうち3,900㎡だけを新たな道路用地に充て、残りを再開発地に転用する計画だ。
区議会では、区が議決前に三井不動産と基本協定を結んでいた事実をめぐり、議員から批判の声が相次いでいる。地元市民団体「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」も、11月12日に港区長に要請書を提出し、伐採の再検討と名勝指定を求めた。
一方、11月6日には、神宮外苑名物のイチョウ並木の枝2本が破損しているのが発見された。原因は調査中だが、市民の間では「工事の影響ではないか」と懸念が広がっている。
- 千代田区、街路樹見守り市民に立ち入り禁止仮処分を申請
- 工事現場での安全軽視や市民プライバシー侵害が問題に
- 明治神宮外苑でも再開発工事が進行、地元議会と市民から反発
- 名物イチョウ並木への影響も懸念され、伐採見直しを求める声高まる