4月7日の参議院決算委員会で、立憲民主党の古賀之士議員が石破茂総理に対し、物価高騰への減税の可能性や、米国が予告している関税措置への対応について質問を行った。
「空前の値上げ」減税の行方は
古賀議員は、今月1日から食品や日用品など4000品目以上で値上げが相次ぎ、国民生活を直撃している現状を取り上げ、「このタイミングで減税を検討すべきではないか」と総理に迫った。
これに対し石破総理は、「現時点で減税に踏み切るとは言えない」としつつも、「物価高への世論の関心が高いことは重々承知している。物価上昇を上回る賃上げを引き続き目指すのは当然のことだが、国会での議論を踏まえながら、タイミングを見て対応していきたい」と慎重な姿勢を見せた。
「相互関税」発動前に何ができるのか
また古賀氏は、米トランプ大統領が9日から日本に対し24%の「相互関税」を発動すると発表した件についても取り上げ、「発動までの猶予期間に、これを回避する手立てはあるのか」と質問した。
石破総理は、経済産業省を中心に早い段階から米国と接触を重ねてきたと説明。「担当者をワシントンに派遣し、縦割り行政の弊害を乗り越える形で調整している。また、与野党を超えて連携する必要があるとの認識のもと、先週末にも党首会談を行った」と語り、超党派での対応を進めていることを強調した。
関税問題の本質は“貿易赤字”?
古賀議員はさらに、トランプ政権が貿易赤字の縮小を最優先にしている可能性に言及。「赤字さえ減らせば取引しても良いという考え方が見え隠れする。これは非関税障壁と同等ではないか」と指摘した。
石破総理は「ご指摘の通り」としながらも、「理屈では押し切れない。米国が『赤字さえ減ればいい』と本気で思っているなら、日本が雇用を創出するために行ってきた投資も台無しになりかねない」と危機感を示した。その上で、「製造業などの分野で、日米が共同で取り組める具体策を提示しなければ、こうした交渉は前に進まない」との見方を示した。
先行きは不透明、国内外での調整に注力
今回の関税措置が実際に発動された場合、日本経済に与える影響は小さくない。民間の試算では、経済成長率を最大0.8ポイント押し下げる恐れもあるという。
石破総理は「外交努力を惜しまず、引き続き対話を重ねていく」とし、物価高対策に関しても「現場の声を受け止めながら、国会での議論を通じて最適な手を打っていきたい」と語った。
- 古賀議員は物価高対策としての減税を総理に求めた
- 石破総理は現時点での減税に否定的ながら、世論と国会の議論を踏まえた対応を示唆
- 米国の24%「相互関税」発動を前に、日本は水面下で調整を進めていると説明
- トランプ政権の貿易赤字重視の姿勢に懸念、日米協働の必要性を総理が強調