2025-04-30 コメント投稿する ▼
尹奉吉記念館めぐる金沢街宣に賛否 右翼団体の開館阻止行動、市民とネットに広がる波紋
尹奉吉記念館“開館阻止”行動に市民抗議 金沢を揺るがす歴史の再燃
3月30日、石川県金沢市は異様な緊張に包まれた。全国から右翼団体の街宣車約80台が集結し、大音量で「尹奉吉記念館を開くな」「テロリストを美化するな」と叫びながら市内を走行した。翌4月29日の開館に向けた「阻止行動」の一環とされ、街は混乱。観光客や住民は騒音と物々しい雰囲気に困惑の表情を浮かべた。
尹奉吉とは何者か
尹奉吉(ユン・ボンギル)は1932年、上海の虹口公園で行われた日本軍の式典に手榴弾を投げ込み、白川義則大将らを死傷させた韓国の独立運動家。日本軍は彼を金沢に連行し処刑、遺体を野田山のごみ焼却場近くに密かに埋めた。戦後、在日韓国人らが遺骨を発見・返還し、1992年に墓碑が建てられた。
賛否渦巻く“記念館”構想
記念館開館を巡っては賛否両論が渦巻く。韓国や日韓交流団体は「戦争の記憶を語り継ぐ場」と意義を強調するが、右翼団体や保守系市民の一部は「日本人を殺した人物を賛美するな」「観光案内所を隠れ蓑にした政治工作だ」と反発している。
ネット上でも意見は真っ二つに割れている。
「テロリストを記念する施設なんて、どう考えてもおかしい。抗議は当然の権利」
「日本人が命を落とした事件の実行犯を称えるなんて、被害者遺族への冒涜」
「観光都市・金沢に尹奉吉の名を冠した施設を作ることに疑問を持つ人がいるのは当然。美化は許されない」
「この国の歴史観がこれ以上歪まないように、声を上げた人たちは立派だと思う」
「言論の自由があるからこそ、こういう記念館に反対する街宣があってもいいはず」
記念館の建設が「日韓友好」を掲げる一方で、「歴史認識のすり替え」や「反日感情の扇動」と見なす向きもあり、単なる観光施設として受け入れられない人が一定数いることも事実だ。
市民からは冷静な対応求める声
一方、地元住民や観光客からは「街宣の音がうるさい」「観光都市にふさわしくない」といった声も根強い。
「どちらの主張も自由だけど、大音量とヘイトスピーチはやりすぎ」
「子どもが泣いて怖がってた。抗議するなら静かにしてほしい」
記念館の是非と同時に問われているのは、日本社会が過去の加害や独立運動とどう向き合うか、そして言論・抗議の自由をどこまで認めるのか、という価値観そのものだ。
4月29日を前に…広がる緊張と注目
「群馬の森」に次ぐ歴史的対立の舞台となった金沢。4月29日には再び大規模な街宣が計画されており、警察や市も警戒を強めている。賛成・反対、どちらの立場であっても、暴力と憎悪ではなく、歴史と向き合う冷静な対話が求められている。