異例の官邸入りから「一旦卒業」へ 矢田稚子氏が明かす激務と官邸のリアル

異例の官邸入りから「一旦卒業」へ 矢田稚子氏が明かす激務と官邸のリアル

「アウェイ感がすごかった」「コロナに救われたと思った」。

総理補佐官を3月に退任した矢田稚子氏が、これまで語られなかった官邸の裏側を明かした。野党出身でありながら異例の抜擢を受け、激務のなかで母親業も両立してきた彼女が、いま「一旦卒業」を宣言した。

労組出身、そして官邸へ 異色のキャリア


矢田氏の経歴は、いわゆるエリート官僚や世襲議員とは違う。

パナソニック労働組合の幹部としてキャリアを積んだ後、2016年に民進党から参院選に挑み初当選。国民民主党副代表も務めたが、2022年の参院選で惜敗した。

一度はパナソニックに復職した矢田氏。しかし、復帰直後に官邸から突然の電話。「総理補佐官に」との打診だった。会社も「断る理由はない」と背中を押し、矢田氏は再び政界へ戻った。

「青天の霹靂でした」と振り返る。

官邸で感じた「アウェイ感」と、それでも得た信頼


異例の登用に戸惑いながらも、矢田氏はすぐに行動を開始した。国会議員720人全員に挨拶回りをした際には、岸田総理も驚いたという。

「官邸にいるのは与党出身者ばかり。最初は『ここはどこ?』という感じでした」。
野党側からは「裏切り者」と言われたこともあったが、参院時代に築いた与党議員との人脈に救われた。副大臣や副官房長官に昇進していたかつての同僚たちが手を差し伸べてくれた。

1年半で38カ所を回り、賃上げや雇用に関する現場の声を丁寧にすくい上げた。「女性の働き方と生涯賃金格差」に関する政府初のデータも公開。民間出身ならではの視点が、確かに政策に反映された。

「忙しいにもほどがある」政治家と母親、二足のわらじ


補佐官、議員時代を通して、矢田氏の最大の敵は「時間」だった。

「正直、コロナで夜の懇親会が全部なくなった時は救われたと思いました」。

高校生の息子に3食の食事を用意し、国会に向かう日々。質問作成も、自分のスケジュール管理もすべて一人。「寝る時間なんてなかった」と語る。

選挙戦も壮絶だった。全国比例候補として、1年半で1,500カ所以上を訪問。飛行機・新幹線移動は地球4周半に達したという。

「青森から秋田に行く途中でも一度帰宅。3日後また現地へ。子育て中だったので、どうしても3日に1度は家に帰らなきゃいけなかった」。

「青」のスーツを脱いで、次のステージへ


参院時代から矢田氏のトレードマークだったのが「青いジャケット」。

「最初はなかなか青いスーツが見つからなくて、見かけたら即買いでした」。クローゼットは20着近い青で埋まった。

いまは、黒やグレーのスーツを買い足している。

「一旦、政治の世界は卒業」と語りつつも、「若者や女性が希望を持てる社会をつくりたい」という思いは変わっていない。

次に向かうステージを、彼女は静かに、しかし力強く見据えている。

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2025-04-26 17:39:19(先生の通信簿)

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