岩手県クマ被害が過去最悪5人死亡、出没9079件で緊急銃猟制度導入

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岩手県クマ被害が過去最悪5人死亡、出没9079件で緊急銃猟制度導入

2025年、岩手県内ではクマによる深刻な被害が過去最悪の規模で発生し、異常事態ともいえる状況が続きました。県の発表によると、出没件数は11月末時点で9079件と過去最多を記録し、人身被害は38人、うち死者は5人と1984年度の統計開始以来最悪の数字となっています。こうした中で、新たな対策制度の導入や関係機関の取り組み強化が図られました。

出没件数と被害の深刻化


2025年度の県内のクマ出没件数は先月時点で9079件。これは県の公表する2020年度以降で過去最多、前の年度の2883件と比べても3倍以上の件数です。特に10月には県内で3084件と、2025年度の3分の1を占める集中的な出没が発生しました。

県内ではこれまでカメラで実際にクマを捉えることは稀でしたが、2024年は1件も撮影されなかったのに対し、2025年は実に14件も撮影されるなど、市街地への出没が頻繁になったことを物語っています。盛岡市本宮の原敬記念館や市役所裏の中津川など、これまでクマが目撃されることがなかった市街地中心部にまで出没し、住民に大きな不安を与えました。

「いよいよ中心部のところまで来たと思うと怖い」
「安心して歩けない状況になってしまった」
「クマのニュースを見ない日がなかった一年でした」
「こんなに身近に脅威を感じたのは初めて」
「子供の安全を考えると外出するのも心配」

痛ましい人身被害の発生


令和7年4月1日から12月4日までに、37件38名の人身被害が発生しています。このうち5人が死亡する過去最悪の事態となりました。北上市瀬美温泉では、従業員の笹崎勝巳氏(60)が露天風呂の清掃作業中に行方不明となり、翌日近くの林で遺体となって発見されました。同じく10月には、一関市厳美町で佐藤富雄氏(67)と飼い犬がクマに襲われ死亡しているのが発見されるなど、痛ましい被害が相次ぎました。

被害の発生場所も多様化しており、従来の山菜・キノコ採りや登山中だけでなく、農作業中、駐車場での移動中、作業小屋での精米中、散歩中、清掃作業中など、日常的な活動中にも被害が発生しています。

新制度「緊急銃猟」の導入


クマ被害の深刻化を受けて、2025年9月に新たな対策制度「緊急銃猟」がスタートしました。2025年4月に「改正鳥獣保護管理法」が成立し緊急銃猟制度が創設された。これにより、市町村の判断で銃猟を行える「緊急銃猟」が可能となる。

県内では11月20日、洋野町で初めて緊急銃猟を実施しました。その6日後には釜石市中心部で木に居座ったクマに対し緊急銃猟が行われ、これまでに県内では4件の緊急銃猟が実施されています。しかし、制度開始時点で緊急銃猟を始められると回答した自治体は4つだけという"見切り発車"でのスタートとなりました。

制度の実効性には課題もあります。市街地でのクマ「簡単に撃てない」とハンターから不安の声が上がっており、安全確保や周辺住民への配慮など、実施には慎重な判断が求められています。

警察による新たな対応体制


さらに、被害が深刻な岩手県と秋田県に特化した取り組みも開始されました。11月には規則の改正により、警察官によるライフル銃での駆除が可能となり、県内外の銃器対策部隊で構成するプロジェクトチームが結成されました。チームは発足翌週の11月18日、2日連続で2頭のクマが現れた岩泉町の柿の木に初めて出動しましたが、クマが高い位置にいて銃で狙えず駆除には至りませんでした。

この対応に当たる岩手県警を激励するため、警察庁の楠芳伸長官も盛岡を訪れ、「地域住民の安全を確保するという使命感と気概、総合力を発揮して活動しているという自負を持って任務に当たってほしい」と述べました。

被害拡大の要因と対策強化


林野庁が2025年7月に発表したブナの豊凶調査では、東北5県(青森県、岩手県、宮城県、秋田県及び山形県)ではいずれも2025年度のブナは大凶作と推測されており、今秋に向けてもクマの出没リスクが一層高まることが予想される。専門家はエサ不足が出没増加につながっていると指摘しています。

森林総合研究所の研究者は「完全にクマの生息圏が人間の生息圏に入り込んで、出会ってしまう確率は10年前に比べると各段に上がっている」と分析しており、根本的な対策の必要性を強調しています。

異常事態に対応するため、12月には盛岡市がこれまで県内でただ1人だった麻酔の吹き矢を扱える人材を新たに7人養成する方針を示しました。盛岡市の内舘茂市長は「市中心部で緊急銃猟を行うことは、なかなか大変なこと。そのなかで麻酔による対応は盛岡市として中心部では有効な対策だと思う」と述べています。

また県も12月24日にガバメントハンターの任用や出没を防ぐための「緩衝帯」整備にかかる費用など2億円余りを盛り込んだ補正予算案を議会に提出します。

全国的な不安の高まりを受け、2025年の世相を表す漢字にも選ばれた「熊」。人間の暮らしを脅かす状況にどう対応していくのか、2026年以降も問われることになります。

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2025-12-23 11:25:24(藤田)

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