2025-08-04 コメント投稿する ▼
美浜町長、原発新設へ地質調査を了承 関電は全世帯訪問で安全説明
美浜町長、原発新設に向けた地質調査を了承 関電は全世帯訪問で説明へ
福井県美浜町の戸嶋秀樹町長は4日、関西電力が示す美浜原発での新設計画に伴う地質調査について、実施を了承する意向を関電側に伝えた。関電は町内全世帯を訪問して説明を行う方針で、安全性や地域理解を重視する姿勢を示している。
地元理解を前提に進める調査
同日午前、町役場で関電の水田仁原子力事業本部長と面会した戸嶋町長は、「地元地域の理解を得ながら進めていただくことを容認する」と述べ、調査への同意を表明。水田氏は「安全最優先を念頭に進めていく」と応じた。調査の着手時期については、「皆さまに理解いただいた段階で固める」と明言し、拙速な開始を避ける方針を示した。
関電は町民の不安や疑問を解消するため、町内の全世帯を個別訪問して説明を行う計画だ。地質調査は新設計画の基礎データ収集に不可欠とされ、実施には地域の理解が重要となる。
「住民説明を形だけで終わらせないでほしい」
「安全第一ならば情報はすべて公開すべき」
町長、議会や住民の声を反映
面会後、戸嶋町長は記者団に「議会や町民の声を集約して回答した」と説明。午後には県庁を訪れ、中村保博副知事に了承の旨を報告した。中村副知事は「しっかりと承る」と述べる一方で、「県が何か意見を申し上げる段階ではない」として、現時点では県としての評価や判断は示さなかった。
美浜原発は国内有数の長期運転実績を持つが、新設計画に対しては安全性やエネルギー政策の観点から賛否が分かれている。原発の新設は国内全体でも数少なく、今回の動きは国のエネルギー戦略にも影響を及ぼす可能性がある。
「再生可能エネルギーとのバランスをどう取るのかが焦点」
「新設は時代に逆行しているのでは」
国と自治体の調整が課題
地質調査は原発新設の是非を判断する初期段階の手続きにすぎないが、調査開始の合意は地元が計画に一定の理解を示したと受け止められる。国や県、町、そして関電の間で情報共有とリスク評価をどこまで徹底できるかが、今後の信頼関係を左右する。
政府はエネルギー安定供給や脱炭素目標の達成を掲げる中で、老朽原発の延命や新設を検討する姿勢を見せている。だが、福島第一原発事故以降、原発政策への国民の警戒感は根強く、今回の美浜町での了承は全国的な議論を再び活発化させる契機となりそうだ。