渋谷区が進めている玉川上水旧水路緑道の再整備計画を巡り、住民から高額な事業費に対する反発の声が強まっている。この計画は、笹塚から代々木までの2.6キロにわたる緑道の整備を目的としており、特にベンチ1台あたりのコストや使用する舗装材に関して批判が集まっている。
高額な事業費に疑問の声
渋谷区は、玉川上水旧水路緑道を再整備するために約113億円の事業費を計上している。再整備には、テラゾという高額な舗装材を使用し、またイベントが開催できる広場も設置する予定だ。この計画に対して近隣住民は、「高すぎる」との声を上げており、特に注目されているのがベンチの設置費用だ。
ベンチ1台約400万円の計算
住民によると、緑道には76基のベンチが設置される予定で、テラゾベンチ50台には1億8500万円、木製ベンチ26台には1億1000万円が予算として計上されている。これにより、テラゾベンチ1台あたりのコストは約370万円、木製ベンチ1台あたりは約420万円となり、一般的なベンチの価格と比較して非常に高額であることが問題視されている。
テラゾ舗装材の費用が32倍
さらに、テラゾ舗装材にかかるコストが高すぎるとの指摘がある。渋谷区が説明したところによれば、テラゾ舗装は1平米あたり14万1000円で、一般的な緑道で使用される舗装材の価格が平米あたり4400円であることから、約32倍もの差がある。この高額なコストに住民は驚き、再整備にかかる経費が過剰ではないかと疑問を呈している。
住民の反発と署名運動
これに対して、住民団体「渋谷区玉川上水緑道利用者の会」は「玉川上水旧水路緑道を守る会」と連携し、計画の見直しを求める署名活動を行った。2025年2月には、計3027人分の署名を集め、長谷部区長に届けられた。署名活動を行った高尾典子さんは、「自然をよくするための計画であれば賛同するが、イベント中心になっていることには不安を感じる」とコメントしており、事業の方向性に疑問を投げかけている。
区の見解と対応
渋谷区は、ベンチの高額な価格について「個々の価格が決定しているものではなく、緑道全体を統一的なデザインにするために特注で製作する予定」と説明している。また、テラゾ舗装材については、「車いすやベビーカーが通行しやすい平坦性を有し、管理車両の耐荷重も考慮しているため、強度と耐久性に問題はない」と述べており、環境に配慮したリサイクル素材を使用することで、持続可能な開発を目指していると強調している。
住民への説明を続ける方針
渋谷区は、この再整備事業に関して引き続き住民への説明を強化する方針を示している。住民に理解を得るため、情報発信拠点を設置し、計画の詳細について説明することが予定されている。しかし、反対の声が強まっているため、事業計画の見直しやコスト削減の余地があるかどうか、今後の議論が重要となる。
- 渋谷区の玉川上水旧水路緑道再整備計画に対し、住民から高額な事業費への反発が強まっている。
- 特に、ベンチ1台あたりの価格やテラゾ舗装材の高額な費用が問題視されている。
- 住民団体は署名運動を行い、計画の見直しを求めている。
- 渋谷区はデザインの統一性や持続可能な開発に配慮したと説明しているが、住民の不安は収まっていない。