昨年、臨時国会で調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)の使途公開と残金返納を義務づける法改正が行われ、議員事務所では対応を迫られた。この制度は、議員に月100万円が支給され、使途の公開や返納の義務がなかったため、実質的に「国会議員の第二の財布」と呼ばれることもあった。特に、2021年の衆院選で当選した新人議員が、わずか1日で100万円を支給され批判を浴びたことが記憶に新しい。
法改正の背景と実態
- 旧文通費は月100万円が支給され、その使い道にほぼ制限がなかった。
- 使途公開や返納の義務はなかったため、多くの議員がこれを私的な支出に充てていた。
- 昨年の衆院選をきっかけに、使途公開と領収書の提出義務化が進んだが、詳細な規定はまだ決まっていない。
- 特に日本維新の会が積極的に公開を呼びかけ、他の党もそれに影響を受けた形で公開に踏み切った。
問題となった竹詰仁議員の使途
国民民主党の竹詰仁参議院議員が公開した使途に、あまりにも不適切な支出が含まれていたことで大きな話題となった。竹詰議員は、旧文通費を使って高額な支出を行い、その領収書が公開されたことが問題視された。
- 竹詰議員は2023年7月、汐留検診クリニックで5万5000円の「日帰りドック」を受け、その後胃カメラを追加で5500円支払った。この領収書が公開された。
- また、2023年9月には銀座の老舗テーラー「英國屋」で、「御品代」として111万7700円の高額な支出が計上されていた。
竹詰議員の支出が注目される
竹詰議員が公開した領収書の内容は、国民民主党内で唯一の例だった。特に人間ドック代や高額なスーツ代は、他の議員には見られないものであり、多くの疑問を呼んだ。
- 竹詰議員が支出した「人間ドック」の費用は、国民民主党の17名の議員の中で竹詰議員だけだった。
- さらに、111万円を超えるスーツ代についても、竹詰議員以外の議員はそのような支出をしていなかった。
竹詰議員の対応
竹詰議員の事務所は、取材に対して「人間ドックは計上すべきではなかったかもしれない」と認め、スーツ代についても「祝賀の儀や園遊会に備えるために購入した」と弁明した。しかし、その後、竹詰議員はこれらの領収書を削除し、136万円を政治団体に寄付したことを報告した。
事務所側は「いろいろな評価があることは承知している」と述べ、その後の対応を反省していることを示唆した。
今後の議論
旧文通費の使途公開と領収書提出の義務化は、議員に対する信頼を高めるためには非常に重要な取り組みである。しかし、公私の区別が不十分な場合や不正使用が見逃されることもある。竹詰議員のような事例を受け、今後はさらに厳格な基準やチェックが求められるだろう。
- 国民民主党の竹詰仁議員が公開した不適切な支出の詳細
- 旧文通費が「第二の財布」として使われる問題
- 使途公開義務化に向けた議会での議論の進展